「黄昏恋」が実ることはなかなか難しい
【質問】
新中国語コーナーをいつも楽しく読んでいます。とくに前号の「爺青回」は自分のことを言われているようで笑ってしまいました。一方で、女性の「婆青回」はないのですか?また、日本ではコロナ禍のもとで中高年の「婚活」ブームが起きているようですが、中国ではどうでしょう?
【回答】
「婆青回」は面白い言葉ですね。大変納得します。 女性としては、もちろん女性のこころの中、「婆青回」という感覚が存在すると思いますが、ネット上、時には性別の境界線が薄くなっているので、「爺青回」で男女のことを総括します。因みに、とても権威と貫禄がある女性は「爺」と呼ばれることがあります。例えば、とてもきれいな有名な女優範氷氷さんのあだ名は「範爺」です。
中高年の「婚活」について、中国では、中高年結婚相談所がありますが、数は日本よりはるかに少ないです。近年、ネットで中高年出会いアプリは続々誕生してきました。ほとんど無料のものです。あまり効率的な婚活ではないと思います。
日本では、婚活ビジネスが盛んでいるようです。結婚相談所の数は4000個を越えました。初期費用は15万円から50万円ぐらいで、さらに、毎月1万から3万円ぐらいの会費を払い、婚活に高いコストがかかるでしょう。新宿高層ビルの中、 多くの結婚相談所のオフィスが構えています。つまり、日本では、「出会い」は容易なことではなく、「高価なもの」であります。
中国で、中高年男女が出会うチャンスは日本より多いそうです。出会う場所の一つは老年大学、もう一つは広場ダンスの踊るところです。老年大学とは、主に定年退職の人が通うお年寄りの大学です。中国各地域では、必ず老年大学があります。近年、一部、中年の方も老年大学で勉強するようになりました。授業内容は書道、絵画、音楽、ダンス、料理、健康知識、生活知恵、園芸などなどあります。中高年男女が老年大学で仲良くなるケースが増えてきました。
広場ダンスで、人と人の距離が急に縮み、男女の出会いは自然に生み出されます。お年寄りの恋愛は「黄昏恋」だと言います。出会いはありますが、婚姻に至る道が難しいです。最大の「壁」は子供たちです。親の再婚に反対する人が少なくないです。親が再婚すると自分のメンツに影響が出るようですし、財産分与の問題もあります。
一人知り合いの例を挙げます。彼の独身の父から63歳での再婚を言い出され、最初は強く反対していたが、父の心が決まっているのを見て、彼はしぶしぶ承諾せざるを得なかったという。ただし、父親の再婚相手とは関係なく、将来的に実家や貯金を自分が相続することを明記した契約書に父親がサインし、公証してもらうことを条件としました。そうでなければ、父の再婚に同意することはできなかったわけです。
日本よりも中国の親と子の距離が近くに見えますが、父あるいは母の再婚問題に直面すると、子供たちが反対するのは本当に身勝手です。「黄昏恋」が実るのはなかなか難しいです。
新型コロナ以来、中国の中高年男女のライフスタイルや消費習慣は静かに変化してきました。インターネットが最高の暇つぶしになって、指先の操作だけでビデオを見たり、料理を習ったり、オンラインレッスンを受けたりとしているようです。ただし、日本のような中高年婚活ブームはなっていないようです。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第44話)