「宇田川源流」 気候変動枠組み条約における化石燃料の制限をどのように解釈すべきであるのか
「宇田川源流」 気候変動枠組み条約における化石燃料の制限をどのように解釈すべきであるのか
話題になっていたCOP26、日本語の略は国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議が閉幕した。この中にはほとんどヒステリックな「環境派」といわれる人々と、基本的にはある程度の産業を維持しながら国際的な気候変動をコントロールすべきという人々のうまい調整が行われるかどうかということが、非常に大きな焦点になっていたといて過言ではない。
実際に、石油製品を使いながら化石燃料削減を叫び、もう片方で原子力発電も規制するというような話になれば、極端な話世界はエネルギーを失い、ITとかそういったことどころか、まあ、日本で言えば幕末の時代くらいまで一気に遡ってしまうということになる。一方で、現在のままでは異常気象によって、人類が滅びてしまうのではないかというような感覚は、産業を推進する人々の中においても懸念事項になっているといって過言ではないのではないか。
そのように考えれば、その「ちょうどいい所」の調整はだれがどのように行うのかということが大きな問題になってくる。その枠組みを話し合わなければならないということになるのである。
しかし、それではその話に関して完全に科学的な根拠に基づいて話をするのか、といえばそうではないところにも大きな問題がある。単純にこの枠組みを無条件に許諾すれば、例えば日本で言えば石炭発電を失う、つまり現在の電力33%を失うということになる。全く現実を見ない世代は、再生可能エネルギーを増やせばよいなどというが、そのように単純なものではない。そのうえ、例えば太陽光パネルなどを増やすといっても、それを生産するのにエネルギーを必要とするのである。また、その生産が国内で行われるのではないというようになれば、当然に、そこに政治的なまたは国際商業的な圧力などが出てくることになる。
では、政治や企業を交えずに学術的に行えばよいなどというような話になるが、では、その「純粋に学術的な意見を言うことのできる学者などという存在がいるのかといえば、必ずしもそこも疑問である。学者も当然に生活がありまた研究する施設や図書が必要になる。そのような一般の経済活動などでスポンサーが発生すれば、または人的関係が発生すれば、そこに忖度が生じる可能性は十分にあるのだ。
つまり、「全く政治的に影響されない会議」ということは存在しないという前提でこれらの話をしなければならない。そのために、今回のCOP26は、会議が紛糾し、また会期を延長しながら、結局あまり良くわからない内容になってしまったということが言える。
極めて異例「石炭火力」制限に言及…COP26、合意文書採択・閉幕
【グラスゴー(英北部)=山下真範、照沼亮介】英国で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は13日夜、石炭火力発電の段階的削減に向けて努力することなどを盛り込んだ合意文書を採択し閉幕した。
合意文書には、排出抑制対策を講じていない石炭火力について「段階的な削減に向けた努力を加速する」などと記載された。COPの合意文書に石炭の制限に関する文言が盛り込まれたのは極めて異例だ。
各国は、温室効果ガスの排出削減量を国際的に取引するルールにも合意した。先進国と新興国で対立していた過去のクレジット(削減量)を国際的な枠組み「パリ協定」に移管するかについては、2013年以降に出されたクレジットに限って移管を認める折衷案に落ち着いた。
COP26では石炭の扱いを巡る交渉などが難航し、12日までとなっていた会期を延長し、13日も交渉を続けていた。
2021年11月14日 05時12分 読売新聞
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-1332592/
アジア支援に1.1兆円拠出=脱炭素、日本でEV普及―COP26岸田首相演説
【グラスゴー時事】岸田文雄首相は2日午後(日本時間同日夜)、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合で演説した。アジア各国の脱炭素化支援のため今後5年間で最大100億ドル(約1兆1300億円)の追加支援を行うと表明し、「日本はアジアを中心にクリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を創り上げる」と強調。日本国内では電気自動車(EV)普及を加速させる方針を示した。
首相は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする政府目標の達成を約束。地球温暖化防止について「この10年が勝負だ」と述べ、国際社会が一体となって行動するよう呼び掛けた。
温室ガス排出量削減は途上国支援が課題だ。先進国は途上国向けに年間1000億ドルの資金援助を行うことで合意しているが、現状で8割程度の拠出にとどまっている。これを踏まえ米国や欧州連合(EU)が相次いで支援増額を発表しており、首相も同様に追加支援を打ち出すことにした。
アジア支援に関し、首相は「既存の火力発電をゼロエミッション(排出ゼロ)化し、活用することも必要だ」と指摘。特に欧州から問題視されている石炭火力について、アンモニアを混ぜて燃焼させるなど削減に向けた先端技術の普及に力を入れる方針も明らかにした。 【時事通信社】
2021年11月02日 22時03分 時事通信
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12145-1316612/
さて、ここで皆さんに質問をしてみたい。
今のままの規模で火力発電を使い、そして、自動車や飛行機、船などを使っていた場合、100年後の2121年に、地球の温暖化はどのようになっているのであろうか。このように問いかけられて、アメリカの左翼メディアであるニューヨークタイムズなどは、「人間が住むことのできなくなるほどの高温になり…」ということを言い、そのシミュレーションまで掲載したことがある。しかし、そのニューヨークタイムズのシミュレーションを、多くの学者や事業者は冷ややかに見、そして冷笑していたのである。つまり、地球温暖化は進まないという結論が、多くの学者や専門家の間では見えている話になる。
なぜか。
それは「石油や石炭が枯渇する」からである。実際に、シェールガス・シェールオイルというシェール層の地下資源を採掘できるようになったので、暫く埋蔵量に問題はなくなったものの、そこもすべて掘り当ててしまえば、地球上に化石燃料というものはほぼなくなってしまう。実際にシェール層地下資源が見つかる前の段階では2006年に原油の採掘量はピークアウトしており、石炭に関してもかなりのものが少なくなってしまっているという状況にある。とはいえ、では再生可能エネルギーの普及ということは、それを備蓄するための蓄電池が必要になるのであるが、その蓄電池に必要な銅は、現在地上での採掘がほとんどなくなり、すべて海底熱水鉱床からの内容になっている。そのようなことから、日本における「銅線」などの中国人による窃盗事件が蔓延し、蛇口やマンホールが盗まれるような事態が発生しているのである。
このように考えれば、ニューヨークタイムズのシミュレーションは「地下資源も無尽蔵に存在する」という前提条件でなければあり得ない。逆に、地下資源が無くなった場合に、その代替燃料をどのように考えるのかということを見なければならないのである。
しかし、COP26はそのような観点で物事が進んでいるのではない。
合意文書には、排出抑制対策を講じていない石炭火力について「段階的な削減に向けた努力を加速する」などと記載された。COPの合意文書に石炭の制限に関する文言が盛り込まれたのは極めて異例だ。<上記より抜粋>
単純に、石炭そのものの火力をどのように維持してゆくのかということに関しては、なかなか様々なことになるのではないかということになるが、では「それに代替するものは何か」ということを全く考えないで、このように決めることの危険性は大きい。
自動車に関しても同じで「ガソリン車を無くせ」などということを、今の若者は言うが、ではEV車に変えたところで、そのEV車の充電するための電力はどうするのかなど、全く何も決まっていないということになるのではないか。そのような「禁止するものの代替をどのように持ってくるのか」ということが全く見えない会議を行うこと位何の意味があるのかということになる。
そして、日本はそのような中で「援助」ということで「解決の方向を示すことなくただ金を出すだけ」の外交にまた戻ってしまっていることにも注目すべきではないか。
アジア各国の脱炭素化支援のため今後5年間で最大100億ドル(約1兆1300億円)の追加支援を行うと表明し、「日本はアジアを中心にクリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を創り上げる」と強調。日本国内では電気自動車(EV)普及を加速させる方針を示した。<上記より抜粋>
大変に残念だが、今の岸田内閣に、このような解決策しか出せないことあ、かなり大きな問題を残すことになるのではないか。日本のモータリゼーションをすべてEVに変えたときの電力はどれくらい必要で、その電力はどのようにして賄うのか。全く答えが出ていない。私自身はこの会議に関して、様々な意味で失望したとしか言いようがないのである。