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超人ザオタル(42)安易な理解

2021.11.15 19:41

アムシャはしばらく黙っていたが、おもむろに口を開いた。

「基本的に自分はひとりしかいないのだ、ザオタル。

おまえが言っていることでは、自分が二人になる。

それでは基本的なことが破られてしまって、道から外れてしまう。


もし自分がふたりでもいいということであれば、何人でもいいことになる。

まるで心の中のざわつきひとつひとつが自分であるかのように。

いまは違っても、いずれはそう認めなければならなくなるのだ。

そうなったら、おまえはどう収拾つける気なのだ。


それはこの世界の喧騒のようになるだけではないのか。

そうして人間は拠り所を失って、道をつくらなければならなくなったのだ。

自分はひとりだと認めて、それを理解しなければならない。

それが出来なければ、ここまで来た意味が失われてしまうぞ」


アムシャの最後の言葉には悲しげな響きがあった。

私はアムシャを失望させたかもしれないと落ち着かなくなった。

あまりにも自分に都合のいい形に自分を理解しようとした。

それが安易な答えであることは私も知っていたのだ。


アムシャがそんな私の気持ちを察してか、続けて言った。

「自分とは誰なのか、そこを突き詰めなければならない。

一分の隙きもないくらいに、何の妥協もないほどに。

それは厳しく聞こえるかもしれないが、ちょっとした油断が命取りになるのだ。


たったひとつの岩が緩んだだけでも巨大な城は崩れ落ちる。

常に点検を怠らないことだ。

妥協的な甘い思考を許してはならない。

厳しい鋭さを失わずに確かな答えを見つけ出すのだ」


気づくと私は心の深い淵にひとり佇んでいた。

そこには私だけがいた。

その私は誰ということもない。

ただの認識であり、存在であり、知性なのだ。


それだけがここの真実だった。

この真実をどうやってあの世界に合わせればいいのか。

その答えを見つけなければならない。

私は瞑想から浮上して、世界に戻っていった。