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Alden of Tuck

Aldenに合わせたい時計①

2017.05.09 00:28

靴ネタが一段楽したこともあり今回は時計のお話です。(笑)。靴にこだわりを持つ方は時計にもこだわりのある方が多いのではないでしょうか。私もビンテージロレックスが好きで集めていますが、今日はオールデンに合わせたい、お気に入りの時計を紹介したいと思います。


①Explorer Ref: 1016MM (IV 1960)

私がそもそもビンテージロレックスにハマりだしたのは今から20年ちょっと前の大学一、二年生の頃でした。当時東京で一人暮らしを始めた私は、高校時代から渋谷や原宿で遊んで育った附属出身の友人達の影響を受け、毎日渋谷や原宿に出てはファッションの研究に余念がありませんでした。ある時その友人の一人が、「今時シルバーアクセサリーなんか流行んないしね、夏にポケT一枚、ビンテージジーンズだけだと寂しいので、これからはやっぱロレックスだよ。ロレックスにはスポーツモデルってのがあって、シルバーにブラックダイヤルでカッコいいんだ」と教えてくれました。

当時彼が付けていたのが、後にキムタクがドラマで使用したことでロレックスブームに火が付くのですが、Ref: 14270のエクスプローラーでした。確か当時は並行輸入もので30万しなかったと思いますが、とにかくその頃はよくわかっておらず、中古なら安いという話を聞いて中野ブロードウェイにあるジャックロードというお店に行き、「ビンテージロレックス(中古)なら10万円台からありますよ」、「これはエアキングという80年代のモデルです。現行モデルと違い、風防がプラスチックでドーム状になり、ブレスレットも巻きのタイプで、バックルへ向かって細くテーパーが付いていて、非常に雰囲気があります」というウンチクを聞いてすっかり気に入り、即決でこれを購入しました。

今思えば、何故もっと詳しく調べてから買わなかったのか、あるいは即手放してスポーツ系モデルに行けばよかったのに、と後悔しきりですが、このしばらく後に古本屋で「世界の腕時計No.12」というムック本を見つけ、そこの巻頭ページに出ていたRef: 1016エクスプローラー(マット)を見て、すっかり惚れ込んでしまい、せっかくエアキングを買ったものの、「エクスプローラーが欲しくてしょうがない、でも10万も使っちゃって、更に30万はきつい。。。これで我慢するしかないか」という日々を悶々と過ごしていました。当時はロレックスのリセールバリューが高く、10万で買ったものが8掛け程度で下取りに出せる、という事実を知らなかったんですね。

エクスプローラーは今でも好きなモデルですが、当時30万円台で買えた1016マットも、キムタクによりブームに火がついてからあっという間に60万円台になり、80万を超え、その後中々縁がありませんでした。そして数年付き合ったエアキングは大学卒業と同時に現行サブマリーナーに代わり、その後GMTマスター Ref: 16750に変わっていきましたが、一時は高騰した1016マットがリーマン後に再び50万円台まで落ちてきていることに気づき、今しかない、と思い速攻で手に入れました。

ところがこの1016マットというやつがクセもので、フラッシュフィット(時計本体とブレスレットのつなぎ目に付く部品)がうまく合うものが付いていることが少なく、通常はFF580というスポーツモデルに一般的に使用されるフラッシュフィットが合うはずなんですが、サブマリーナーなどに使用されているFF580をそのまま使用すると、画像のように隙間が出来てしまいます。。。ええ、そうです、微妙なもんです(笑)。ほとんどの人は言わなければ気づかない、しかし、ロレックスがデザインしたこのフラッシュフィットという部品は、ケースのカーブに綺麗に沿うように作られているので、ここが綺麗に収まらないと嫌なんですよね。。。ピッタリ合うFF580をみると、微妙に加工されているようで、「その昔、日本ロレックスで加工された」、という噂がありますが、このパーツは長い間に入れ替わっていることも多く、運良くピッタリ合うFF580が付いた個体を探すしかないんですね。。。実際にググってみると、同様の悩みを抱えている人が多いことに気づくと思いますが、いずれにせよ、別のフラッシュフィット(FF501B)をつけてみたり、いろいろやってみましたが、結果的に興味がミラー系モデルに移ったことで、その後これを手放し、今ではサークルミラーの1016になっています。

ちなみにここに出てくるマットとかミラーというのはダイヤル(文字盤)の表面の仕上げのことで、大まかにいって、50年代:艶の飛びやすいミラーダイヤルで夜光がラジウム、60~63年頃:文字盤の外周にサークルの付くツヤツヤのミラーダイヤルで夜光はトリチウム、64~67年頃:サークルのないツヤツヤのミラーダイヤルで同じくトリチウム、67~88年頃:艶のないマットなダイヤルでトリチウム、に分類されます。加えて、この頃までがRef番号が4桁であることから、”4桁モデル”、などと呼ばれてビンテージロレックスであることの一つの指標となっています。(モデルによりますが、88年頃以降からRef番号が5桁になり、その後これは6桁になりますが、最近では5桁モデルも準ビンテージとして価格が高騰しています)

上は1977年製エクスプローラーII Ref: 1655のものですが、70年代に入ってから誕生したエクスプローラーIIにはマットモデルしか存在しません。表面を見ていただくと、ザラっとしたマットな質感がお分かりいただけるかと思います。日付を拡大するために膨らんでいるところを、サイクロップレンズと呼びますが、これにより拡大されたダイヤル表面をみるとよくわかりますね。下は1016ミラーのものですが、ツヤツヤとした質感がわかりますか?ミラーダイヤルの写真撮影は非常に難しいです(笑)。この濡れたような艶感がたまらないんですよね。。。これは表面に塗料を塗って焼き付け塗装が施されているだとか色々説がありますが、どのようにして作られているのか、未だによくわかっていないようです。ちなみにマットのものは文字も夜光部分もシルク印刷ですが、ミラーモデルの場合は、ゴールドレターになっていて、ルーペでよく見ると、一段深くなった「彫り込み文字」になっています。ミラー部分は焼き付け塗装で、文字は段が付いて凹んでいる。。。一体どうやって作られたのか大変興味深いですが、夜光部分も実は彫り込みになった箇所にトリチウムが立体的に盛り付けられていたり、この個体のようにサークル時代のものは、長針、秒針の先がダイヤルに向かってカーブを描くように曲げられていたり、いたるところに作りの細かさを伺い知ることができます。当時相当手の込んだ作りをしていたんでしょうね。

またこの年代はいわゆるリベットブレスになります。スチールの板を折り曲げて、サイドからリベットでかしめて作られるブレスレットで、バックルには、”デベソ”、と呼んだりしますが、王冠マークが飛び出した形状のものが付いていて、非常に雰囲気があります。リベットブレスはおよそ1967年頃まで使用されていたブレスレットで、画像のスイス製のものが一番人気があり、アメリカ製のものもありますが、こちらは70年代に入ってからも製造が続けられ比較的手に入りやすいことや、作りが更に華奢でカチャカチャした感じが安っぽくもあり、USリベットの方が価格は控えめです。とはいえ、最近ではスイスリベットはめっきり手に入らなくなりましたね。。。現行の無垢のコマのブレスに慣れている人がこれをつけると、驚くほど軽く、違和感を感じるかもしれません。しかし、金持ちは重たいものを持たない、の格言通り(?)、高価なものほど爽快な装着感が無ければいけません(笑)。

そんなことはないでしょうが、笑、現行モデルはやたらデカく、重く、宝石散りばめて高級感を出しているところに、どうしても疑問を感じてしまいます。。。アメリカに残る唯一の米国産材料による、ハンドメイドで靴を作っているオールデンと同じく、やはり作りで勝負して欲しいと思うんですが、皆さんはどうでしょうか。

ムーブメントはCal. 1560、名機ですね。。。後年のもの(例えば2000年頃のCal. 3000の場合、28,800振動/時)と比べて振動数が18,000振動/時と非常に遅く、現行がハイビートと呼ばれるのに対し、ロービートと呼ばれ、耳を近づけると、「チン、チン、チン、チン」と実に小気味良い音が響きます。ロレックスのムーブメントで最高峰と呼ばれるCal. 1570は19,800振動/時ですので、個人的には音が大きく、更にロービートのCal. 1560の方が好きですね。加えて、60年頃のCal. 1560には画像のような「バタフライローター」と呼ばれるローター(自動巻き機構の為の重り)が搭載されていて、普段目にすることはありませんが、味わいがあります。ちなみに50年代のモデルに搭載されるCal. 1030には、二本角が生えたような形状の、いわゆる「ユニコーンローター」が搭載されていて、こちらも大変人気があります。

このローター、当然普段は目にしないので、このようなデザインは意味がないと思われますが、文字盤の作りや針の形状、手作業による夜光の盛り付け、等相当手の込んだ作りをしていることがわかります。当時は相当な高級腕時計であったはずですから、やはり100年以上使えるように!というメーカー側の考えがあり、随所に手の込んだ作りを施した、といわれています。一方で、現行モデルというのは、100年使うというよりも、猫も杓子もロレックス、という時代になり、メーカー側も大量生産に切り替えざるを得ず、時代を経て次第に簡素化されているんですね。現代のモデルにはない、手の込んだ作りと、精度よりも耐久性を重視して作られたムーブメント、その辺りにビンテージの良さがあると思っています。

この1016MMですが、ギャラ(保証書)は付いていないものの、箱、クロノ証明書(歩度証明書)が付き、ワンオーナー物との説明通り、年代の合う1960年3期製ブレスが付き、風防も当時のドーム風防が付いていて、今思えばお買い得でした。今では倍出しても買えないぐらい高騰していますね。。。一体どこまで行くんでしょうか。。。このスイスリベットだけでも、普通の高級時計が買えてしまいますからね。。。

ケース径も現行とは比較にならないほど小型で、サイズは36mmと、スポーツモデルの中でも最も小さい時計ですので、いざ腕につけてみると結構地味です(笑)。なので、以外と出番が少ない時計でもあるんですが、これはダイヤルもビカビカで、風防の雰囲気も良く、お気に入りの一本です。

さて、本題のこの時計に合わせたいオールデン。。。いや、オールデンに合わせたいエクスプローラー。。。って、どっちでも良いですが(笑)、やはりシンプルでビジネスなどにも大活躍する時計ですから、9901Cなど黒系が一番しっくりくるのではないでしょうか。