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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

背教者ユリアヌス5-キリスト教最強の敵

2017.05.11 01:06

人間は「裏切り」ということに弱いようだ。ユダから明智光秀までこれでもかというほどヘイトされた。イスラムでは、教徒同士戦争できないもので、今の戦争ではお互い「背教者」と認定して戦っている。ユリアヌスは、キリスト教教育を施されキリスト教皇帝となるはずだった。まあところが、しかしそういうことって多いよね。

キリスト教司教達にとって驚天動地であった。これまでの批判者と違って、この異教者は、キリスト教のことを内部から知っているのだから。新皇帝はもうローマの髭を生やし、6か月後「教育勅令」を発し、各都市の教師は、ギリシャ・ローマの伝統を重んじる者にすべしとした。各都市では、キリスト教聖職者が教師となり、古典も教えていたのであった。

さらに、キリスト教への免税特権も廃止された。そしてローマの神々の聖職者をキリスト教のように組織化しようとした。またキリスト教がやっていた貧者、病者への慈善も国家職員がやるように変えた。そしてどどめに放ったのが皇帝自らの「ガリラヤ人駁論」であった。

ユリアヌスは、イエスが神などとは旧約聖書に論拠がないと詳細に示す。また聖書の創造論とプラトンを比較し、プラトンのほうがより説得力があるとい、旧約に出る神もそんなに尊敬できる神ではないという。つまり、ユダヤ教も神話であり、各民族には、それぞれの神話がある。それは、それを通して人類が持っている共通の神を示しているのだ、という。これはプラトン哲学の神の考えであった。

下はエドワード・アミテージ作「宗教会議のユリアヌス」