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空の欠片

音信不通は籠の鳥の証明

2021.11.18 22:45

大切さんとの音信不通がここ数日続いている。


年に数回あること。


はじめのうちこそえらく心配したものだが、今はもう落ち着いて経過を見届ける余裕がある。


彼女はときたま寂しげに文句を言う。


言いたい事もよく分かる。


だけど私は『全てを捨てた重度身体障害者』なのだ。


私からは『動けない』のだ。

『物理的』に。


どれだけ心を動かしても、私は『籠の中の鳥』でしかない。


様々な事柄に疲れ果て、私の声すら邪魔になってしまう沈んだ時の君だから、私はただ穏やかに待つのみだ。


またいつか君から、甘えを求めたラインが届くまで。


そしてもしこのまま音信が途絶えたならば、それもまた穏やかに受け入れるだけなのだ。


私はここに居て、狭い世界から全てを眺めている。 


籠の中の鳥なのだ。

そしてそれを選んだのもまた己なのだ。

きっと今日も淡々と流れ行く。


宵はじめの空に、きっと素敵な喰われた月が昇るのだろう。


私は籠の中の鳥。

今日も明日も明後日も。


ただ穏やかに。

ただ穏やかに。

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