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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ナポレオン37-エアフルト会議の裏切者

2021.11.20 11:26

1807年からタレーランは外務大臣を辞任していた。ということで、彼はナポレオンと一線を画して、自分の思想のために能力を使うことができるようになり、オーストリアやロシアとも堂々と通じていた。何重スパイというべきか。オーストリア大使はあのメッテルニヒである。

しかしエアフルト会議には、ナポレオンもタレーランを連れていかざるを得なかった。ナポレオンは、イベリア半島戦争に注力するために、オーストリアがフランスに攻撃した場合、ロシアはオーストリアに宣戦する攻守同盟を締結しようとした。しかし欧州バランスを信条とするタレーランは反対だった。

攻守同盟は、ナポレオンをさらに強くして、対英戦争に突っ込ませ、フランスをさらに戦火に落とすだろう。その考えで、タレーランは、露皇帝アレクザンドルに攻守同盟は適当にお茶を濁すようにと密かに助言した。アレクサンドルは、祖母エカチェリーナ大帝と父の対立を見て育ち、狡猾と偽善を身に着けていた。

結局ロシアは可能な限り協力するというセンに落ち着いた。ナポレオンは、ロシアは自分の配下に入ったと思ったが、面従腹背のアレクサンドルは、あまり協力しない。ロシア大公女との結婚が流れて、オーストリア皇女と再婚したナポレオンは、疑心がつのり、ロシアへの戦争を決意するのである。