長文通読について。
中3の長文通読の2話目が終了しました。ある実力に恵まれないフットボールプレイヤーが、亡くなった盲目の父のためにプレーをする話が2話目だったのです。最後はほとんど国語でしたね。直訳では掴みにくい内容を、ある意味では国語的に、ある意味では宗教的に読み取り、実に深い読みを拾えたように思います。これには1ヶ月くらいかかりましたが、生徒たちはこれまでみたことのない文法を見ることができたり、不定詞の三用法を徹底的に洗い直したり、時には分詞構文や関係代名詞の理解までして、これまでにないほど辞書を引いたりしながら訳を予測して来ました。かなりゴリ押しでの訳を要求され、実に英語の授業を楽しんでくれているように思います。
” What you didn't know is that he was blind.”
本日の新中3の通読授業において争点とした文法です。まず、動詞がどれなのか実に掴みにくいのです。これに関しては、英語が苦手な高校生とかでも難しいのではないでしょうか?だから、まずはisが動詞であることを指摘しました。そして、その上でのthatの意味。中2文法なので説明不要。接続詞で、is以下は「彼が盲目であること」と訳されます。そして、主語。主語はWhatで、その横に一つの節を発見しますが、それが修飾の役割を果たす部分であることはこれまでも生徒にずっと指導し続けて来たことですので、すんなりと把握されました。で、無理矢理に直訳してみました。
「あなたが知らなかった”何”は、彼が盲目であったことです。」
ここでのWhatは名詞節を作るWhatで高校文法なのですが、
「あなたが知らなかった”何か”は、彼が盲目であったことです。」
→「あなたが知らなかった”こと”は、彼が盲目であったことです。」
と順次変換を試みます。そして、中2文法までしかおよそ把握をしていなかった集団は、名詞節という概念を60%くらい理解し、この訳をしっくりと頭の中に、あるいは感覚として残すことに成功したようでした。
英語の教科書の内容もほんのり扱いますし、文法指導もしなければならないので、通読にかけられる時間はわずか20分程度、1〜2パラグラフずつではありますが、少しずつ物語を読み進めていくということの面白さ、英文そのものを読んでいく面白さみたいなものも実感してもらえるようになって来たかな?というところです。
全文を一気に渡すと、全体をざっと読んでオチがわかってしまうということもあって、今度は1〜2パラグラフ、授業を行う文章ごとにプリントを渡していくことも決定し、「毎回、次の内容がどうなるか楽しみにしながら通って来てね。次の話はかなり泣かせる系の話だから。英語を読むとともに、自身への精神的な揺さぶりとか成長とか、そういうのも感じながら英語を読んでほしいな。相手にしているのは、確かに文法理解は前提になっているけど、基本的には文が示す内容なんだよ。単なる知識として文章の文法部分だけ拾うような読み方って浅くない?君たちはそこから何かを感じ、考えるという次元の読み方までして、他言語の感覚、バックグラウンドとしての歴史や文化や宗教、そんなものまで感じられる程度になってから高校生になってほしいけどね。そこまで要求するのは今は難しいから補助は入れるけど、先生の話の中から一体どれほどを感じられるかは君たちの取り組み次第だよ。」とも。私はすぐにオチを言いたくなるのですが、できるだけオチが分からない文章を選択しているつもりです。
英語の実力がペーパーで8割超えをしていないと必ずちんぷんかんぷんになるという次元の文章なので、一定程度の実力を備えた集団であるゆえに可能な指導でもあります。ここまで来るのに結構時間がかかりましたが、生徒たちは実に力をつけました。本当にこれまでよく頑張って来ましたね。
深く、広く、具体的に。中学生においても指導方針はあまり変わっていません。「やらなければいけないことは、自分の子どもはよく分かっている。だから、燃えるきっかけを作ってほしい。」という言葉になるべく答えていくような授業を作るようになりました。
これを分かりたい。これを読みたい。これを理解したい。もっと深く分かりたい。そこから何かを感じたい。目をつぶって考えてみたい。想像してみたい。・・・そんな、探究心がもっと出てくればいいなと思っています。下の世代の子たちも、中2までの文法的な下積みをしっかりすることによって楽しい世界が待っています。穴がないように、深く感じ入るという瞬間を大切にできるように、そんなゆとりのある学びができるように、調べるテクニック、考える技術、センス、教養、・・・いろんなものを磨いてほしいと思っています。