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kojinkai

すごいパパとその娘さん。

2017.03.28 16:46

 私が8日間悩んだ末に解いた問題を、生徒のパパは40分で解いてしまったそうで、生徒からそんな報告を受けました。附属の新中2、新中3トップの子も解けず、致遠館の新中2の数学が得意なグループも解けず、生徒の知り合いの界隈でかなり賑わっていた問題でしたが、まさか40分で解いてしまうとは。しかも、私とは異なる別解であり、その解答痕を見せてもらいましたが、実に鮮やかでした。さすがは理系の大学の先生といったところで、あ〜、こういう補助線もありか・・・と考えさせられました。


 


 私はその問題に対して補助線として円を作図して、直径利用からの二等辺三角形の発見という方針で解いたのですが、パパはある点から真下に線分を引いて合同証明をした後に求めており、これもいいな〜とその鮮やかさに感動しました。というか、子どもが解いている問題に40分も付き合ってくれるなんていいお父さんだな〜と、その点についても感動したわけです。子どもさんは、私の解法とパパの解法を見比べながら二重の意味で学びを得たわけで、楽しそうにその問題についてお話してくれました。当の本人はまだ自分なりの解法を見つけてはいないため、もっと別解はないかと考えてました。


 


 もともとね、このご家庭からのご依頼は「言われたことしかしないことが心配で、勉強に対する主体性をつけてほしい。」ということで承ったわけですけど、そもそもこの子はかなり主体的であり、勉強の機会を求めているような節がありました。私も親御さんも通塾2週間くらいが経ってその事実に気づいたわけであり、そりゃあもう水を得た魚のように学習をしているわけです。


 


 「俺は授業でしたいことあるから、君のしたいことはほとんどしないよ。通った以上付き合ってもらう。ただ、君に発見とか気づきが必ずあるように、得意なことでもこんなことが分かっていなかったってひっくり返してみせる。”分かっていること”なんて実際はほとんどないんだよ。いつも、自分の意識の外から、実際はこうだったって言ってひっくり返される面白さを好奇心に変えて、全教科を楽しんでほしいね。君の全てをひっくり返せたら、俺の勝ち。俺は勝ちに行く指導をする。俺は君より経験してきた期間も長いし、”分かってる”からね。俺は面白いよ。でも、まだそれくらいじゃもっと向こう側の面白い指導を引き出すことはできないね。君が分からないことは、俺にとっては普通で平凡すぎる。実際自分で勉強し直してすぐ分かるようになったことばかりだったんじゃないの?もっと指導者にプレッシャーかけるくらいやってくれないと困る。」


 


 今日は、香山リカさんがインフォームド・コンセントの批判を行っている文章を読んで、インフォームド・コンセントって実際どうよって話で随分議論しながら、「彼女がいうように、実際塾とか学校みたいな教育現場にもインフォームド・コンセントの流れがあるかもしれないね。こんな方法で指導するからって予め保護者の方に伝えて、その方法・システムが合わなかったら別の場でカウンセリングのようなものを受けて云々みたいな流れ。保護者の方にはそのシステムに関する情報がないから色々駆使して調べるけれど、それが与える側の本質に対する理解にまで到達することはあんまりなさそうだよね。そして、システムの責任にすれば、主体はどこにある?誰が責任を取るわけでもなく、じゃあ誰が苦労するのだろうかね。情報だけ与えて判断を相手に委ねるっていうのはずるい考え方だっていうのは香山リカさんに同意するね。俺は、俺がこうしたいしこうすべきだっていうことは必ず伝えたいけどね。それは彼女が批判するもう一つの父権制に近いものかもしれないけど、うちみたいな小さい場所はそれでも突っ張ってないと面白くはないからね。これはポジショニングの問題。父権制も、例えば教育業界で、すぐに乗り換え可能な環境であるから成り立ちやすい考え方なのかもしれない。だから、君たちとかお父さんお母さんの共感が得られるかが入塾基準であって、俺は俺の正しさを曲げないし、突っ張るよ。それが面白いと思うし、この場所にいて思考とか価値観が揺さぶられるから君たちは通ってんだよね、多分だけど。」って話をしました。


 


 彼女は、ウンウンと頷いたり、ウーンと考えたり、実に様々な表情を見せます。一つを私が喋るごとに目まぐるしく思考しているのがよくわかります。きっとまたこの数カ月で激変しているでしょう。面白い子です。日々この場で感じる全てに意味があると思えるような学習をしてくれていれば幸いなわけです。