九州大学。
中3の生徒から、九州大学は今から目指せるのか?ということを聞きました。なぜそうしたいのか?と問うた時の生徒の言葉を紹介します。
「俺は、夏休みを棒に振った。これまで先生には言わなかったけど、暇な時はほとんど寝ていたし、学校の授業もどうせ分からないから、やる気なんてなかった。9月の終わりに親から究極の選択肢を突きつけられて、やっとお尻に火がついた想いだった。塾も辞めたくなかったし、高校へも行きたかった。それから英語も数学も理科も社会も英語も全部やったけど、ちゃんとやれば結果が出るということを今回の入試で知ったし、もっと早くから取り組んでいたら絶対にもっと結果が出せていたと思う。今回、理科とか社会でこれまで取ったことのない高得点を出せた。正直自分にも驚いている。ギリギリまでやり抜いて、本番も全力で実力以上を出したと思う。でも、明日が合格発表だけど、合格している自信もないし、ギリギリ合格した学校でまた下の成績で学んでついていけなくなるっていうのも正直悩んでいる。受かったとしても行きたくはない。できるっていう自信を持ちながらやりたい。自分のレベルでわからない授業ばかりされるっていうのは本当にもううんざりだ。順番にやれば誰だって分かるから、授業を無駄にしないように合う学校に行きたい。
高校受験を経験して、はっきり言って今回の学校を受験するためにはスタートが遅すぎたと思う。だけど、高校生になったら絶対に間違わない。受験も終わってしまったけど、全く終わった気がしない。先生は終わりは始まりだっていつも言って、俺が”終わった・・・”っていうと、”ほら、その瞬間に始まってるよ”って言った。ジョークみたいでよく分かんない言葉だなって思ったけど、今なら分かる。俺はもっとちゃんと勉強をしてどこまでやれるかを知りたくなった。だから、とりあえず九州で1番の学校を目指してみようと思った。今から何をやれるか、何をやったほうがいいでしょうか。」
数学10点、英語10点、理科20点、社会35点、国語75点、計150点。これが、500点満点における彼の初回過去問演習時の得点でした。本番で取れた点数は、数学55点、英語50点、理科76点、社会75点、国語80点、計336点(自己採点)。人は追い詰められると変わるな・・・と。彼が飛行機に乗り込む時間の寸前まで指導をしました。焦りが伴って直前に解いた問題集を全問ミスるというすごい状態のまま送り出して、正直気が気ではなかったのですが、”時間が足りなかった”という言葉に逆にホッとしたのも覚えています。ちゃんとこれまでのことを無駄にしないように、端から端までちゃんと読んで、考え、勝負の時を過ごしてきたんだということがその一言で分かりました。普段は30分くらいでチャチャっと終わらせていつも私から”文章を隅から隅までちゃんと読まんかい!!”って叱られてましたから・・・。やるときはやるんだな・・・と。本番の強さに驚きました。
で、彼が目指すのは九州最高峰の九州大学だそうで。高校入試落ちてる前提で言うなよ・・・って思ったけど、なんかすでにモードチェンジして吹っ切れてしまい、エンジンがかかってしまっています。「九大は、俺が行けなかった悲願の学校だよ。」とだけ伝えました。二次試験での数学のミスは、私の人生を大きく狂わせ、いろんな出会いを経て今を作りました。まあ、悔いはありません。大学で恩師に出会え、満足できる研究ができましたし、東京へも進学でき、そして、紆余曲折あって今こうやって君たちに出会えました。
人は、何に出会うかによって随分と生き方が変わります。数値上で出てくるものなんてほとんど意味はなく、何に影響され、何に翻弄され、何に尊敬をいだき、何に夢中になったか、それが大切なのだと思います。
結果は・・・結果?それは刹那に起こる一現象です。終わりは始まり。私も、結果をもっとガツンと出せなかった、圧倒的点数で合格させるという結果を出せず、ほんの200点くらいを後押ししたに過ぎない。彼の人生をまた狂わせた張本人の一人です。断罪の気持ちで、彼もろとも、後輩たちも含め、力を尽くして育てて行きたいという決意を新たにした日でした。