問題を解く前後に教科書を読んだ方がいい、というより、読みなさい。
有機物について、正しく述べているものをア~エより一つ選びなさい。
ア 燃えるものは全て有機物であると言える。
イ スチールウールも燃えるので、有機物である。
ウ 一般に有機物は燃焼に水の発生を伴う。
エ 有機物は、有機体(生物)によってのみ合成できる。
本日の中1に向けた化学の小テスト(私が作ってます)の2問目です。この問題、正答率が0%でした・・・。さて、この原因について、私の感想を少々お話させていただきます。
まず、全員に言えることですが、教科書をもっと読んだ方がいいということ。私の小テストは、決して無理難題を課しているわけではなく、全て教科書を丁寧に読み込み、書いてあることからしか問いを作っていません。生徒は難しいと言いますが、裏を返せば教科書を読めていないか、あるいは読んでいないかのいずれかなのです。
まず、アについて。燃えるというのは、熱や光を伴う急激な酸化現象です。これが定義。しかし、無機物である金属も熱や光を伴って急激に酸化するものがあります。よって、燃えるものは全て有機物であるという定義は論理的に考えて誤りであることがわかります。
次に、イについて。有機物は、燃えると二酸化炭素を発生させます。スチールウールは急激に酸化はしますが、二酸化炭素は発生させないので、これも誤りとなります。
そして、エについて。これは教科書該当ページ右上に解説が書いてあります。本来植物の働きによって合成された炭素の複雑な化合物を有機物と呼んでいましたが、昨今は人工的に合成できるようになったため、定義が変更されました。よって、有機体によって”のみ”合成されるという点が誤りになります。
改めて読んでみてください。教科書にそう書いてあるのです。しかし、平易な問題集ではなかなかそれが問われません。難しい問題集でも、省かれていることが多いです。よって、こういった点が盲点となりやすく、失点を招くきっかけとなっていきます。
中1に最近私の手作りテストを解いてもらっているのは、問題集なんてチェック程度にしかならないことが多く、そりゃあ簡単な問題集は満点になるまで周回すべきですが、結局は教科書を、参考書を”考えながら”熟読していける力を最終的には身につけていかなければいけないのです。問題集の演習止まりで、全部丸になったからと油断している人が非常に多いという警告を全体でして回り、今一度学習方法の修正をお願いして回っているところです。
それでも、今回のテスト39問ありましたが、31問正答した附属の生徒は、かなり化学を理解していると感心しました。公立だと8割以上、私立でも8割以上、中高一貫では7割以上、点数を取れている生徒たちなのですが、この点数はおそらくテキストを解くことによってのみ取れる点数の上限でしょう。もっとやるべきは、問題集を解くごとにテキストを読み直し、どんな振り回しがあるかを想定しながら、意味の共通点や差異を捉えられるようになることです。
学問は、読むことによって進んでいきます。その読むというプロセスがすっぽ抜けて、君たちはどうやって大学の学問まで到達し、論文を書いていきますか?知識は必要です。だから演習します。しかし、やはり読まないと。読む力を鍛えないと。小テストをわざわざ自作して毎週読みの精度を高めてもらいたいというのは、今の中学生へ向けた一番のメッセージであると言えます。