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イギリス紀行16

2021.11.27 07:30

イギリスの公園、またはその文化がいつ頃に生まれたのか正確には知らない。ただおそらく、十九世紀になって産業革命が起こり、人工的な都市が環境破壊を始めてからではないだろうか。それまではイギリスだってそれほど公園を作るほど自然がすたれてはなかっただろうから。むしろ王族や貴族により荘園などが保たれてはいただろう。そこからイギリスには田舎文化というものが生まれていくことになる。王族や貴族がお城や邸宅を保持していたからこそ、田舎文化(田園文化)は一つのカルチャーとしてありえたのだろう。


日本では田舎は田舎であり、どちらかといえば(現時点ではまだ)マイナスなイメージが多い。「田舎から出てくる」「田舎者」という言葉のように。英語で田舎は「Country」だ。そこにマイナスのイメージはあまりないように思える。Countryは国という意味もあり、一つの軸を示している。CityとCountryは対等であるのではないだろうか。日本語で都市と田舎は対等ではなく、都市(その代表としての東京)を中心としたとき、その周辺としての(自然と一体化した)田舎がある。イギリスのCountryは国でもあり、自然に対しても一体というよりはコントロールしているイメージ。そこから田園生活、田園都市などといった日本ではあまりない田園文化も派生しているように感じられる。


ハイドパークを歩いていて、そのようなことを考えた。すがすがしい冬のパークを歩く。人々は多くも少なくもない。以前春にロンドンを訪れたときにも、この公園文化に衝撃を受けた。多くの人が家族連れやカップルで、公園を楽しんでいた。まるでエデンの園のようだったと言えば大げさだろうか。それでいっぺんにイギリスが好きになった。フランスやドイツにもイギリスほどの公園文化はなかったし、アメリカには各都市にスクエアのような場所はあるがロンドンほど緑は多くない。それを考えると東京はまだ公園が多い都市だ。ロンドンほどではないにしても、近い部分もある。皇居や天皇家により保持されていた土地があったり(それはイギリス王室も同じである)、またはアメリカ軍により占領されていた土地が戦後に大きな公園になったりしているから。