いよいよ開幕! 今年もKYOSHO CUPが熱い・・・
皆様、こんにちは。RCグループの古屋です。
本日は、まもなく開幕する『KYOSHO CUP』で電動カー初のチーム戦となったプラズマLmクラスのレギュレーションを解説したいと思います。
冒頭でも軽く触れていますが、今シーズンから大きく変わったのが“個人戦”から“チーム戦”に変更したことです。昨年度までは個人種目でしたが、今年は2名以上でチームを組んで参加していただくチーム戦となりました。2017年でKYOSHO CUPは24年目を迎えましたが、電動カーでチーム戦を行うのは初めての試みです。ひとりが速いだけでは勝てません。2人、または3人のドライビングはもとより、バッテリー交換やボディ交換といったピット作業を含めたすべてが勝敗に影響する、まさに本物のルマンと同じようなチーム力が何より大事な楽しいレースなのです。
プラズマLmによるチーム戦は何と! 予選からチーム戦となります。通常、予選はファーストドライバーの1周のベストラップで争われたりしますが、プラズマLmクラスの予選は10分間のレースとなり、スタート開始4分~6分のわずか2分の間にドライバー交代を必ず行うことが義務づけられています。
ドライバーチェンジのタイミングでピット作業も同時に行うことが可能です。仮に5分ちょうどでドライバーチェンジを行う場合、ピットでバッテリー交換を行うことも可能です。もちろん、バッテリー交換をすることなく、そのまま走行することも可能です。
レースに使用するニッケル水素バッテリーは前半2~3分にパンチがあり、4分を過ぎると徐々に徐々に電圧が下がります(いわゆる“たれ”です)ので、バッテリー交換したほうがストレートの伸びは断然よくなります。しかし、バッテリー交換に時間を費やしてしまうと、大きく出遅れてしまう危険性もありますので、バッテリー交換をするかしないのかも各チームの作戦となるわけです。
決勝Bメイン以下は15分の耐久レースです。スタート5分~10分までの5分の間に必ず1回ドライバーチェンジを行うことが義務づけられています。10分以降は第1ドライバー以外ならドライバーチェンジが自由となります。
たとえば、2人のチームで1ストップ作戦の場合、レース時間半分の7分30秒付近にドライバーチェンジとバッテリー交換を同時に行って1ストップで走行する作戦が考えられます。この時にドライバーチェンジは必須ですが、バッテリー交換の義務はありませんので、最初から最後まで1本で走行してもOKです。
2ストップ作戦は5分過ぎにひとりめのドライバーチェンジとバッテリー交換を行い、10分過ぎにもう一度バッテリー交換を行います。この時に第2ドライバーから第3ドライバーにチェンジしてもいいですし、第2ドライバーがそのまま走ることもOKです。バッテリーを素早く交換する自信があるチームにはよい作戦といえるでしょう。
KYOSHO CUPの決勝レースは予選の総合結果によってA、B、Cというように、各メインに振り分けられます。通常のレースでは各メインのレースで終わりなのですが、KYOSHO CUPは予選がふるわず最下位だったとしても、優勝する可能性があります。それが勝ち上がりのシステムです。決勝は下位メインから行われますが、そのうちの上位3チームが次のメインに進めるのです。ですから、上位3位に入り続ければ、Aメイン決勝に進むこともできます。
さあ、いよいよ決勝Aメインです。決勝はなんと、24分間レースです。もちろん、あのルマン24時間レースのリトル版を意識しています。
しかも、決勝Aメインはスタートから10分が経過するまでドライバーチェンジはできません。電動種目としては、とても長いですよね。10分以降、14分までの4分の間にドライバーチェンジを1回行います。つまり、第1ドライバーはスタートから最低10分間、最大で14分間ドライブすることができます。そして、スタート開始14分から24分までの間は第2ドライバーが走り続けてもいいですし、第3ドライバー、第4ドライバーへのチェンジも可能です。ただし、第1ドライバーに戻ることはできませんので、ご注意ください。
決勝Aメインもバッテリー交換の規制はありませんので、5分間隔で交換してもいいですし、バッテリー交換をすることなく最後まで1本のバッテリーで走っても問題はありません。バッテリー交換をするのか、しないのかも勝敗を大きく分けるポイントといえるでしょう。ひとつ言えることは、ドライバーチェンジのタイミングと同時にバッテリーを交換できますので、これが一番効率的だと思います。
バッテリーの交換は大きく分けて2種類あります。ひとつは1台のマシンをチームでシェアしてバッテリーだけを交換する方法です。
そして、もうひとつはTカーを準備し、バッテリー交換のタイミングでマシンをチェンジする方法です。しかし、ピットに持ち込めるボディは1枚のみ。したがって、Tカーを使用刷る場合はボディを付け替える必要がありますので、その作業をいかに早く行うかがポイントとなります。この場合、AMBはボディに付けておくことをお勧めします。交換前のシャシーにAMBを置き去りにしてしまうと計測されませんので……くれぐれもご注意ください。
バッテリー交換にボディの付け替え。いづれもピットクルーのウデの見せドコロです。考えただけでも緊張しますよね。そして、スリルがありますよね。ドライバー以上にドキドキです……
さて、バッテリー交換ですが、バッテリーチェンジャー付けていいの? とのご質問もありますが、ここはレギュレーションをしっかり読んで熟知してください。
『※下記指定パーツ以外の装着に関しては、京商純正パーツ(無加工)に限ります。』と書かれています。つまり、バッテリーホルダーの加工はできず、またバッテリーチェンジャーはKYOSHOから発売されていませんので装着することもできません。
ポリカ板やFRP、カーボン板などを切ってガード類を貼るのも自作パーツになりますので使えません。
では、どうすれば無加工でバッテリー交換を素早く行えるのでしょうか?
私が考えた案をご紹介致します。
何と言ってもボディを外さず、いかにバッテリーを素早く交換することができるかを考える訳ですが、ボディを外す時間を短縮するために、バッテリーを横からスライドして挿入する方法を考えました。
まずバッテリーを挿入する側と反対側ですが、Oリングが途中で引っかかってしまうので、Oリングは外し、その代わりにグラステープでバッテリーホルダーのアーチを作ります。これは加工せず現場で皆さんにお試しいただける簡単な方法だと思います。
こんな感じです。
次にバッテリーを挿入する側です。Oリングのままだとバッテリーが入れづらく……
そこで、Oリングに4×8mmのベアリングを通してみました。カラー代わりに中央付近にφ5mmの絶縁チューブを3cmに切って入れてみました。
こんな感じです。
フルベアリングでもいいのですが、あまりにたくさん使うので少々重たく、同僚にドン引きされてしまいましたので(笑)、カラー代わりに収縮チューブを使用してみました。バッテリーを入れてみると、ちょうど角にベアリングが当たってスライドさせてもベアリングが回転! それなりに役目を果たしていると思います。
ESCのコネクターも固定できるとバッテリー交換の時に便利です。
コネクターをしっかり固定するのが難しいのですが、まず、ストラップでダンパーステーのプラパーツにコネクターの根元をしっかり止めるのですが、いったんダンパーステーを外して溝にナイロンストラップ(小)を通してから再度ダンパーステーを装着します。
次にシリコンコードの保護としっかり固定するために、まず絶縁チューブ付近をビニールテープで巻きます。
そして、ビニールテープを巻いた中央をストラップでしっかりと固定します。
バッテリーのコードもちょうどいい長さに調整します(コネクターは車検対象外です)。
この段差を布テープなどでなだらかにすると抜き挿しする時に引っ掛かりが軽減され、スムーズにバッテリー交換ができますので、ぜひお試しください。
最後に裏面全体に布テープを貼ります。
抜き挿しを繰り返すと、この辺りがこすれて削られます。
こすれて削れたら布テープを貼り替えます。
完成状態はこんな感じです。
スムーズに抜き挿しができ、バッテリー交換がスピードアップしました。
コネクター接続はこんな感じです。
もちろん、他にも無加工でできる早ワザがあれば、ぜひトライしてみてください。
他にもいい方法があったら教えてくださいね。
プラズマLmのチーム戦、果たしてどのようなドラマが生まれるのでしょうか? 今から楽しみです。
皆さん、ふるってのご参加をお待ちしています!
そして、プラズマLmクラスに参加の皆様のご健闘をお祈りしま~す。