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地域づくりファシリテーション研究所

第24話 ワークショップって何だろう? その1

2021.11.23 23:00

ワークショップとはいったい何でしょう?

色々な意味で用いられる用語です。

2、30年前とちがって今では耳にすることも多くなりました。


僕自身は、研修でのグループ作業という形で「ワークショップ」と出会いました。

いつが初めての出会いだったか思い出せませんが、恐らく1990年代後半かな?


その後、たくさんの「ワークショップ」を経験し、自分のなかでイメージができていきました。

定義を明確に考えていたわけではないので、漠然としたイメージですが。


一方、いまからちょうど20年前の2001年秋にカナダで驚いたことをはっきり覚えています。

「ここが僕のワークショップだよ。」

知人の家のなかの小部屋を見せてもらったときのことでした。

その小部屋には、DIYのための道具や作業台など彼(カナダ人)の作業の場がありました。


そうか、ワークショップとは作業場とか工房の意味もあるのか!

というか、むしろそちらが元々の意味なのでした。

僕のなかでこの本末転倒があったことにそのとき気付いたのです。


元の意味を知ってから、僕にとってのワークショップのイメージが少し具体化しました。

ハンズオン(hands on)という表現を耳にすることもありました。

これは読んで字のごとく、ですね。

目や頭だけでなく、手を使って作業する。

「机上の空論」とか「議論が空中戦」などと対極にある、「実践」の概念です。


21世紀に入ってからでしょうか、日本でも参加型の議論が増えてきました。

小グループに分かれて、模造紙や付箋紙を使って作業するワークショップ。

海外から入ってきた概念や手法と、KJ法のような日本発祥の概念や手法。

うまく組み合わされば、魅力的な場が生まれます。


そんな時代の流れのなかにあった2011年。

知人の研究者が、ある問いを発しました。


「ワークショップって、一体何のためにやるんですかね?

親睦が目的なら、懇親会をやればいいだけです。」


発言の主は、自然科学の分野の人です。

でも、白衣を着て実験室にこもるという研究スタイルではありません。

他の分野の研究者(文系も含め)と大きなチームで研究をする人でした。

さらに、フィールド研究の対象となる地域の住民とも関わりが増えていきました。

研究で得た科学的知見を一般向けに伝える活動にも従事します。


そうした一連の研究活動のなかでワークショップに触れる機会も増えたのでしょう。

彼が経験したワークショップがどのようなものか僕は知りません。

なので、ここからは想像になります。


どうやら、彼の居心地が悪かった原因の一つは、ワークショップの「結果」の扱いにあるようでした。

ワークショップで議論されたことを、誰が、いつ、どこで、何のために、どのように実行するのか?

こうした5W1Hの行動計画につながらず、その場限りの演習をするだけでは時間の無駄ではないか、ということかもしれません。


いずれにしても、彼の本質的な問いは僕に深い印象を刻み込みました。

はっきりと答える自信はまだありません。

これからもずっと自分に問い続けていくことになるのでしょう。