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地域づくりファシリテーション研究所

第26話 ワークショップって何だろう? その3

2021.11.23 23:20

ワークショップは何のため?


この問いへの答えになるかどうか分かりませんが、僕が確信をもって言えることがあります。

ワークショップだからこそ得られる成果は確実にある、ということです。

それは、一人の思考の枠を超えた広がりです。


一人が一つの楽器を演奏するのと、複数名が複数の楽器で演奏するのとで違うのと同じです。

どちらが優れているか、ということではありません。

生み出される音の広がりや深みが違うということです。

そして、その広がりや深みとは、相互作用の産物といえそうです。


ジャズを思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。

楽曲の基本的な造りは楽譜で示されています。

でも、演奏しながら共に音を作り上げていくようです。

各楽器のソロ部分では、ある程度自由に即興演奏できます。

いわゆるアドリブというやつですね。

しかし、それは単独演奏とは違います。

楽器や演奏者の間の相互作用から、その一度かぎりのアドリブが生まれます。


ワークショップもジャズ演奏と似ています。

相互作用によって自分のそのときその場での思考が刺激される。

そして、ひとりだけでは得られない気付きや学びを得ることができます。

その過程を共に体験した人たちの間の一体感も生まれます。

懇親会で育む親睦も大切ですが、ワークショップは少し違った連帯を促します。

それぞれに効用があるのです。


このジャズによる例えかたも、僕はある対話の場面で知ったのです。

「これまでの2時間、ずっとジャズが流れていましたね。」

他の参加者が述べた感想の言葉。

なるほど、このような相互作用。

ある程度の基本的な想定。そして促し合うアドリブ。

とても実感できる例えでした。


ということで、ワークショップには意義があるという僕の考えは揺らいでいません。

目的を設定して、それを達成できるように設計・運営するのは難しいです。

相互作用の行方を事前に予想しきれるものではないので。

だからこそ、ワークショップには醍醐味があります。