我ら呪術ブラザーズ!
森の中の一軒家に住む呪術ブラザーズは、まだ半人前の魔法使い。
ネム、スイ、ルー、風 の4人グループだ。
ある日、惚れ薬をさらに山奥に住む呪術集団が作り上げ、高額で売り捌いていることが判明した。
しかもそれを、呪術ブラザーズにとって絶対に売って欲しく無い人に売ってしまっていたのだった…!
その相手は「ショータ」
義理の父に叶わない恋心を抱くすばるを狙っていた大学の同級生。
すばるを騙して、手に入れた惚れ薬を飲ませてしまった。
呪術ブラザーズは大慌ての大激怒!
なぜなら、すばるは彼らにとって特別な人だったから。
そのすばるに勝手に薬を飲ませ、心を操ろうとすることが許せなかった。
4人は早速惚れ薬の解毒薬の開発に取り掛かった。
半人前なのでもちろん思うようにいかなかったが、何度も何度も試作を重ね、大釜と薬品で試行錯誤。
やっと解毒剤を作ることができた。
あとはこれを、惚れ薬で無理やりすばるを惚れさせた「ショータ」と、すばるに飲ませるだけだ。
でもただ飲ませるだけでは解毒はできない。
ショータに一口飲ませた後、そのグラスに残った解毒薬をすばるに飲ませなければならないのだった。
そのために、ブラザーズは大学のキャンパス近くで「ワインの試飲会」を装うことにした。
ショータはのこのこ現れ、ブラザーズはうまいことしてグラスに少し残させることに成功した。
これで一安心、と思ったら、ショータが言った。
「君たち、それ解毒剤なんでしょ?前に飲んだ薬に味が似てるし。俺、分かってるよ」
ブラザーズはびっくりして目が泳いでしまった。
「でもいいんだ。解毒してくれ。
俺が間違ってた。
どんなに薬飲ませたって、彼女の中の深い気持ちは変えられない。
あの子は心底愛してる男がいる。それはいくら薬で騙してもあの子の中から消えないんだ。
だから俺は薬なんかなくても惚れてもらえるような男になるよ」
と言うとショータは帰って行った。
ブラザーズは気持ち新たにすばるの家へ向かった。
すばるの家へ着くと、ネムちゃんとルーちゃんが部屋に潜入した。
すると後ろから声がした。
「なんだお前たち、呪術師か?」
すばるのパパのタクヤだった。
「…そうです。おねえちゃんの惚れ薬の解毒をしに来ました。」
「おねえちゃん?」
「はい。アタシたちはおねえちゃんとお話ししたことはありませんが全部知ってます。
おじさんのことも。
おねえちゃんがおじさん以外の人を好きになることがおじさんの願いでも、これだけは譲れません。
人の心を勝手に操ることは許されません。アタシたちはおねえちゃんの気持ちを尊重するために解毒しにきました。」
ネムちゃんが言うと、タクヤは全て悟ったようにフッと笑って頭をかいた。
「そうだな。思い通りになんてできない。しちゃいけないよな。
じゃあ、あとは任せるよ。よろしく」
「あっ、おじさん…」
タクヤは部屋に戻りかけて、ネムちゃんの声に振り向いた。
「心に、正直にいてください。アタシたちはおねえちゃんの味方だし、あなたの味方です。」
ネムちゃんはそう言うとマスクを外した。
「フフ、レイナさんによく似てる。
君たちはいつかすばるに聞いた妹たちだろ。また普通にすばるに会いに来てやってくれよ」
「…はい。いつかきっと会いに来ます」
タクヤは微笑むと部屋に帰って行った。
「ネムちゃん、早くしよう」
ルーちゃんに促されて、
ネムちゃんは寝ぼけながら起きたすばるに解毒剤を素早く飲ませて家を後にした。
その後すばるはショータへの気持ちが消え、恋人関係は解消してただの友人になった。
なんで好きだったんだろう?と思うのだけど、
細かいことは魔法でうまいこと忘れている様子。
呪術ブラザーズは一安心。
これからも姉を陰ながら助けていくことを誓うのだった。