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ゆとりらYOGA

「tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!Netflix」(映画感想)

2021.11.27 02:20

ミュージカル映画と知って、それなら配信じゃなく劇場で観たい!と思っていたら、シネ・リーブル梅田でやってくれてまして…観てきました!

ブロードウェイで12年間上演が続いたという「RENT」の作者、ジョナサン・ラーソンの短い生涯を描いたミュージカル。

「RENT」はタイトルだけは知っている。舞台も映画も観たことない。けど、伝記ものもミュージカルも両方好きなので、この作品は観たいなあと思ったのです。

で…めちゃめちゃ面白かった!大画面で観られて良かった!

主演のアンドリュー・ガーフィールドは、遠藤周作原作の「沈黙 -サイレンス-」での宣教師役や「ブレス しあわせの呼吸」で首から下が麻痺してしまったポリオ患者の役が凄く印象に残ってます。どっちもずしんとくる、重いテーマの作品でした。

↓5年近く前のブログ。某女優さんの宗教騒動ってこの頃か…



だけどこの作品は、基本コメディで、歌もダンスも明るい!第4の壁も超えてくるし、本当に舞台を観てるみたいな感じ。

そもそもの構成が、舞台劇と現実、その舞台劇を作り上げるまでの出来事(過去)と現在、という風にくるくると入れ替わるのでダレる時間がない。

メリハリがあって明るいんだけど、時代が1990年、という、エイズ(とそれに伴う偏見)が世界を脅かしていた時期。ジョナサンの周りにも感染者が出て、後半は様々な悲しみや焦りが描かれます。

このジョナサン・ラーソンという人は、35歳という若さで急死(大動脈解離)していて、しかも亡くなった日は舞台「RENT」初日の明け方だったんだそうです。本人は自分の大ヒット作の本番を見ることなく逝ってしまった。生きていたらまだ60過ぎなんで、すっごく若い…

これを観てて、この感じ、被るなあ・・・と思っていたら、ボブ・フォッシーの伝記映画「オール・ザット・ジャズ」でした。

あんなに退廃的でもエロティックでもないけど、若き天才で、安定した生活や人間関係を築けないが故に周りに迷惑をかけるところが似てるな、と。

「チック、チック…ブーン!」って、可愛い時計のチクタク音のこと?って思ったんだけど、OPでその説明があります。

29歳の主人公の頭の中では、いつも「チック、チック…」と秒針の音が聞こえていて、30歳で爆発するまであとほんの少しの猶予しかない。つまりこの音は時限爆弾が爆発するまでの恐怖のカウントダウンということ。

1990年という時代を思うと、なんだかすごく共感できる(私はジョナサンより6歳下)。

30歳って結婚とか再チャレンジとかの「締切り感」のイメージが凄くありました。30になっちゃったらいろんなこと諦めなきゃいけないんじゃないか、もう自分にはチャンスは廻ってこないんかじゃないか…そう思い込んでいたように思います。全然そんなことないのに!

でも1990年以降って何となく、それまでのとんちきなノリと勢いだけではやっていけないんだろうな…という、うっすらとした諦めがあったように記憶しています。バブルが弾けた!というその瞬間の実感なんてなく、それはじわじわと沁み出て広がっていく感じ。
…まあこれは日本だけのことで、アメリカとは情勢が全然違いますね。

だけど、自分が30歳に近づいていた頃を思い出したら、世間がどんよりしていく感じまで込みで、全然明るくなかったことを思い出しました((+_+))


エンドロールで、ジョナサン・ラーソン本人の映像が出てきますが、愛嬌があって何だかカートゥーンに出てきそう。演じたA.ガーフィールドはそっくり。コメディアンっぽい。

劇中の歌が素晴らしかったので早速サントラを聴いてます。