巨匠・加納典明が四十代・LiLiCoを『絶夜』撮影で「尊敬する。」と
【芸能報道】 平成二十九年五月二十五日に東京・六本木にて、双葉社(代取:戸塚源久)が写真展『加納典明「絶夜」レセプション』を開き、日本が誇る写真家の巨匠・加納典明(壬午)と「絶夜」のモデルとなったプロレスラ・LiLiCo(庚戌)が多く集まった報道陣の取材に応じた。
今回の「絶夜」は、二十二年前に加納が売れる前のLiLiCoを撮った「前夜/風雅書房」のモノクロ写真に、今のLiLiCoをカラーで収めたフォトブックだ。
加納は「彼女は凄く澄んでいた。エロティックでない領域で撮った。」と二十代中頃だったLiLiCoを振返り、ホームレス時代が終わった後のスウェーデン貴族のハーフに惹かれた胸中を語った。当時の二人のヌードセッションでは余りコミュニケイトが無かったという。LiLiCoは加納を「恐い人。」だと思っていた。「前夜」は加納が七年に逮捕されてから、最初の復帰作でもあった。
凹んでいた五年
加納は「五年位、凹んでいた。」と吐露。身体を悪くし、膝は人工の関節で一年前には心臓の手術を行っていた。退院後にLiLiCoと再開し、「頭脳明晰に驚いた。パワーは別人になっている。」と二十二年間の成長を目の当たりにし、今回の「絶夜」に取り組んだ。LiLiCoは「スタイリングは自分でやりたい。」と、普段はモデルの意向を気にしない加納に迫り、赤い二十㍍のロープ以外は自身の身の回りの物で揃えた。そして縛られた。
撮影を終えた加納の感想は「プロさ加減が、なかなかのもの。」と高く評価。「これ以上が無い。」という意味を込めて、「前夜」に続き「絶夜」と命名。翻って二十二年先に、オーロラの下で「終夜」を撮りたい旨を口にした。その時、LiLiCoは六十八歳、加納は九十七歳となる。
また加納は現代について「スマホに全てが集約されている。」とスマホでの個展も望んだ。LiLiCoとの再会セッションが原因か、創作意欲は落ちてない。「今、治って元気で。写真家って動かないと話しにならない。」と身体の健康を何遍も記者達に強調した。
それが加納スタイル
更に加納典明と云えば、情熱的な写実が有名であるが、カメラマンとモデルとの男女関係の重要性も話した。「女性は身体が顔。」と断言し、そのモデルの表情の変遷を“アコーディオン”と称した。カメラマンが如何に“アコーディオン”の蛇腹を広げて、魅力を写実していくか。「個性、指紋を撮ってなんぼ。」と力説。昨今のグラビア写真集を「ありゃ、宣材。」と加納美学と真逆である事を指摘した。LiLiCoとは関係をもっていない。
一方のLiLiCoは「女性にも(絶夜)を見て頂きたい。」と圧倒的な自負。見て貰いたい男性については、劇場版「猫侍 南の島へ行く(二〇一五)/AMGエンタテインメント」で共演した北村一輝(己酉)を挙げ、「(北村を)抱きたい。」と肉食的攻めサイド。だが北村を誘う事に関しては消極的だった模様で、映画のロケで「何も無かった。」と残念そうな顔をした。
加納に撮ってみたい次の女性を問うと、満島ひかり(乙丑)を即答。ヌードでなくとも良い様で、満島の魅力を「掴み所が無い。個性以前の個性。淋しい感、謎めいた感。」と的確に言い顕せなかった。最後に日本人を「どこ見てもアマチュア。」と比較し、LiLiCoを「尊敬する。なかなかのもんです。」と、巨匠・加納を言わしめた。
献花はセガサミーHD・里見治(壬午)代取、竹書房・後藤明信 代取、渡哲也(辛巳)、徳光和夫(辛巳)、近藤真彦(甲辰)、赤松広隆(戊子)元・衆院副議長等から届いた。尚、写真展は六月十四日までZEN FOTO GALLERYで開催している。
『加納典明「絶夜」レセプション/㈱双葉社』
撮影記者:金剛正臣