「宇田川源流」 中国に近しいという選択をした政府に対する反対デモが暴徒化する「世界」の現状
「宇田川源流」 中国に近しいという選択をした政府に対する反対デモが暴徒化する「世界」の現状
中国、正確に言って中華人民共和国というか、共産党政府ということに関して言えば、かなり嫌われているといって過言ではない。ある意味で、中国共産党というのは、語弊があるかもしれないが、諸悪の根源的な考え方になっている。まあ、このブログの中で、毎週金曜日に「現代陰謀説」をお届けしているのであるが、まさにその陰謀の主のような嫌われ方をしているということになる。
簡単に、なぜ、そのような嫌われ方をしているかといえば、「権利の主張」のみを行い全体の調和や義務の履行、約束を守るというような当たり前のことができないということが最も大きな要因であるといえる。ある意味で、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」の小説のような感じで、あまり良い印象がない。
そこに、現在のネットなどによる情報の共有がありなおかつ、コロナウイルスやウイグルの人権問題、香港の民主化弾圧など、他の国において「当たり前」のことができていないと、当然にマイナスの感状が増える。ましてや「共産主義」で平等を掲げていながら、その実のところ、中国人だけが不当と思われる行為で儲けて、他の国から搾取している状況であれば、当然に良いということにならないのは当たり前ではないか。「債務の罠」などの指摘に対して「権利として当然」というような対応をした中国共産党は、やはり世界各国から非難される存在になる。
もちろん、中国人全員が良くないということを言うつもりはない。しかし、これは日本において民主党議員と民主党、韓国国民と韓国という政府という関係と同じで、中華人民共和国の構成員であり、中国共産党の支配に問題を感じないということまたはそれを許容している時点で、そのような中国共産党の支配に対してそれを許容する素養があるということになってしまい、受け入れることができないということになるのではないか。
BBCワールドサービスやピュー・リサーチ・センターやユーロバロメーターが定期的に実施している世界各国を対象とした対他国感情に関する調査によれば、調査対象国における対中・対中国人感情は否定的な回答を示しており、中国は、世界に対して悪影響を与えていると評価されている。
2020年にシンガポールのシンクタンクであるISEASユソフ・イサーク研究所がASEAN諸国の政府高官、学者、専門家など1300人を対象に実施した調査によると、ASEAN諸国では中国の政治・経済的影響力への警戒感が広がっており、中国に不信感があるという割合は、2019年の52%弱から2020年には60%強に上昇し、また40%近くが「中国は現状の秩序を打ち壊そうとする勢力で、東南アジアを自らの影響圏に入れようとしている」との認識を示している。
世界的にも人権意識が強い欧米諸国は、チベット問題やウイグル問題や香港問題の影響から、中国に対する悪感情が形成されており、中国を否定的にとらえる回答が多い傾向にある。2020年にパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症が主要因となり、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、欧州連合などの欧米諸国に限らず、係争地域で死者の出る衝突が起きたインド、韓国、日本、南シナ海問題を抱える東南アジア諸国連合関係国などのアジア諸国を含む国際社会での反中感情は過去最悪となっている。
その内容は、南太平洋ソロモン諸島でも同じなのである。
暴動で容疑者100人超逮捕=焼けた建物から3遺体―ソロモン諸島
【シドニー時事】南太平洋の島国ソロモン諸島の警察は27日、首都ホニアラで反政府デモをきっかけとした暴動に関与したとして、100人を超える容疑者を逮捕したと発表した。現地報道によれば、焼けた建物の中から3人の遺体が見つかった。確認されれば今回の暴動に関連した初の死者となる。
デモは、ソロモンのソガバレ首相が2019年に台湾と断交して中国と国交を樹立したことに不満を持つ地方の住民らが24日に決行した。暴動に発展し、数日間にわたり中華街などで略奪や放火が相次いだ。 【時事通信社】
2021年11月27日 14時40分 時事通信
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-1352287/
ソロモン諸島でデモ暴徒化=親中路線に反発か、豪は治安部隊派遣
【シドニー時事】南太平洋の島国ソロモン諸島の首都ホニアラで24日、ソガバレ首相の退陣を求めるデモが行われ、一部が暴徒化した。政府は事態収拾を図ろうと36時間の外出禁止令を発令したが、25日も暴動が続き、オーストラリア政府は治安維持部隊を派遣した。反政府デモは、台湾とのつながりが深い一部州と中国寄りの政策を進める政権との対立が背景にあるとみられる。
現地報道によると、24日、警察署などが放火され、中華街では略奪が起きた。警官隊が催涙ガスで応戦し、首都は大きな混乱に陥った。ソガバレ氏は同日夜、26日朝までの外出禁止令を発令し「政府は破壊行為の背後にいる人物を見つけようと取り組んでいる」と強調したが、25日も首都では略奪や放火が相次いだ。
豪政府はソロモン政府の要請を受け、警察と軍合わせて100人以上を派遣すると決定。モリソン首相は記者会見で「目的は治安と安定を提供することだ」と強調した。 【時事通信社】
2021年11月25日 17時01分 時事通信
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-1349056/
まずソロモン諸島の前伊、オーストラリアの範疇意識について考えてみよう。オーストラリアに関しては20178年ごろから、それまでの親中政権から範疇政権に切り替わり、2018年ごろに大きく反中に切り替わった。この時期中豪FTAが発行し、うまく動いていたのであるが、その結果中国軍と近い関係にあるとされる中国企業に北部ダーウィン港を貸与する契約が浮上し、一段と批判されるようになった。そのためだけではなく、中国政府からのスパイ(ハニートラップを含む)のために、様々な企業が中国企業の乗っ取られたり買収されるということになり、そのことから、中国による政府への環礁やオーストラリアの議員に対する買収、または政治献金、敷いては二重国籍議員なども出現し政治が混乱したのである。その後、オーストラリア政府は、反中国を貫き、中国と敵対するインドやアメリカと結ぶことになる。
中豪間の二国間関係は2020年を通じて急激に悪化し、とりわけ石炭、大麦、牛肉、ワインや綿など数多くのオーストラリアの輸出物に対して公式および非公式の貿易障壁を中国が課すことになった。
さて、ソロモン諸島に話を移す。
まずは地理的な所を確認する。ソロモン諸島はオーストラリアの北東、パプアニューギニアの東に位置する。北にはナウル、東にはツバル、南東にはフィジー、南にはバヌアツがある。イギリス連邦の一員にして英連邦王国の一国。首都であるホニアラは、ガダルカナル島に位置している。国家元首はエリザベス2世女王。その権限は総督が代行する。総督は任期5年で、議会の決定に従い、女王が任命する。
2019年4月、マナセ・ソガバレが首相に再度就任した後、対外関係の全面見直しを表明。同年9月16日、中華人民共和国と国交を樹立し、これまで国家承認していた台湾と断交することを発表した。アメリカは、台湾との国交を継続するよう働きかけていたが裏切られた形となり、直後にマイク・ペンス副大統領がソガバレ首相との会談をキャンセルするなど大きなしこりを残すこととなった。
そしてその国民が「反中」で暴動を起こし、チャイナタウンなどを襲撃することになったのである。
さて、ある意味で1998年のインドネシアにおける反中デモ、またはアジア通貨危機におけるマレーシアにおけるものであり、愛国無罪ではないが中国人であれば殺しても構わない、中国人を殺さなければ自分達の国や生活が侵されるという危機感の表れになっている。まさにそのような事こそが、今回のデモに繋がっている。
実際に、この辺の海中資源(銅などが採掘)または、軍事基地化が問題であり、中国政府は約束を守って経済支援を行うなどということはない。中国共産党は政治的な上層部を買収することには慣れているが、国民の支持を得て、国全体を豊かにし、そのうえで中国そのものの信頼を上げるというような感覚はない。そのことが、ソロモンの人々の「騙された」というような感覚に火をつけることになる。
逆に、日本はこのようなことを見て中国との関係を見てゆかなければならない。中国と安易に妥協すれば、当然に日本そのものがソロモン諸島からの信頼を失うのである。また、中国そのもののやり方をどのようにするのかを考えてみなければならないのではないかと思うのである。このようなニュースを大きく中国と関連付けて報道することがどれほど重要なことなのか、しっかりと考えるべきではないか。