キッズウィークとか狂ってんのかと思った。
夏休みを削って別のところに持っていき、子供達に9連休を与える「キッズウィーク」を政府が検討しているらしい。
yahoo!ニュースのコメント欄は否定派しかいない。もともと、ヤフコメ欄は某巨大掲示板でも噂されるほど荒れているし、はっきりした理由もないのにやたら否定したり論点ズレが目立つ意見も多いのだが、今回はヤフコメにももっともなことばかり書いてあるのでくまなく読んで参考にしろよと思う。
「キッズウィーク」を導入することで親子の時間を増やすーそれが政府の目的だそうだが、ズレているとしか思えない。子供の連休を増やしたところで、親が仕事を休めなければ「親子の時間」は生まれない。
いま働いている職場にはパート主婦がたくさんいる。子供が学校に行きだした瞬間、パートを含めて自分の時間が増えるから有難い、連休中は子供が家にいるから大変、と言っていた。
親子で出掛けられる時間が増えるならまだしも、特に母親の働き方をさらに制限する可能性もあるこの政策、賛否両論ではなく「否」しかないのは誰でも簡単に想像できる。
ただでさえ「ハッピーマンデー」「プレミアムフライデー」など、ゆとりを作り出そうとする政策は土日が仕事のサービス業に従事している人々をハナから無視しているとしか思えないものだ。
サービス業だけではない。取引先の都合に応じて動く営業マンなども、そう簡単に「午後3時になりました。プレミアムフライデーなので帰ります」なんて言えるわけもなく、また、内勤だって月末締め日に他の部署の人間を残したまま「お先に」なんて言えるはずもないだろう。
どの企業だって普通に勤めてりゃバカでも分かることなのに、政治家は世間知らずだから分からないんだよな、と残念に思う。
キッズウィークなんて制度を導入したって、企業の体質が変わらなければ鍵っ子児童が増えるし、そんな子に配慮して休みを取りたい子だけどうぞみたいな選択制にすると学校の負担が増えるだけなんだから、祝日やらを増やすより企業体質自体をそろそろマジで変えないと働く人々も疲弊するし、海外勢力に今以上に圧倒されてしまうこと間違いなしだ。
欧米のような働き方、親子の触れ合う時間を作りたいなら国というより企業の姿勢を変えなければいけない。だいたい、国が関係する仕事より民間企業のほうが多いわけで、民間企業は言ってしまえば法律にさえ触れなければ必ずしも国の指針通りに動かなくて良いのである。
政府からの指示で「休み取ろうぜ」「ここ休みに出来るから連休取ってみたら?」なんて言われても、労働者の当然の権利である有給休暇を未だ、一流企業でもなかなか取れない日本のサラリーマンには夢のまた夢ではなかろうか。
各国の有給休暇取得率は以下のリンクに詳しい。
<a href="https://www.travelvoice.jp/20161216-79930">世界28か国の有給休暇取得率2016、日本が3年ぶりに最下位、「短い休暇を複数回」や「ひとり旅」ではトップに</a>
このランキングによると日本は有給取得率が低いかわりに、意外なほど「もっと休みたい」と思っている人は少ないようだ。確かに各国の制定された休みの日数だけを見ると日本は上位国で、祝日の多い。祝日が多いから有給を取り辛くなるのもあるかもしれない。
全員が一斉に休むのではなく、うまく有給休暇をもっと利用できるようになるほうが効率的であるし、不満も減るだろう。だが、そこに「子供のため」という理由を国が押し付けるのは違うとわたしは感じる。
ならばいっそのこと、子供の夏休み休暇を増やして欧米のように6月頃から9月頃まで幅を持たせば親ももう少し好きなときに長めの休みを取って親子の時間を楽しめる気もする。
それはそれで4月スタートの日本の学校システムでは難しいが、新年から3月までを休みにするのもアリではないか。
欧米の場合は9月が節目になるので、その前3ヶ月ほどを休みにしているのだろう。ならば受験の時期でもあるし、日本の学年の節目にあたる1月〜3月を休みにするという案ならまだ、ここまで国民の否定を受けることもなかったように思える。
親子の時間を増やすのは良いことだが、それによって親側や学校側、さらには子供にとっての負担が増えても知らんぷり、になるような政策を打ち出す政府の手腕に疑問を感じるばかりである。