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大雪

2021.12.01 00:47

愛し君へ


今年も残り一か月。いよいよラストスパート。

冬らしくなってきた今日この頃、いかがお過ごし。


君はもうしばらく会えていない人っている?

先日、テレビ番組で立川談志さんの没後10年の命日に、

生前の未公開映像が公開されたんだ。

ホームビデオで撮られた数々の映像は、

どれもとても興味深い内容だった。


主軸にあるのは「老い」に対して抗う姿。

増えてきた白髪を写したり、

やせ細ってしまった身体を写していた。

落語では歳を重ねて、芸が落ち着く事をしばし「枯れる」と表現する。

この「枯れる」という言葉はある種の褒め言葉であって、

落語界では名人芸のような扱いをしている印象を受ける。

しかし、立川談志はこの「枯れ」に抗っていた。

常にイライラしている感じだった。それが刈川にはとてもカッコよく映った。


家族と居て安心している自分にイライラする。

この感覚はとてもよくわかる。

闘っていない気持ちになるというか、

イライラしている状態の方が心地いいというか。

今の刈川でさえこの感覚で、

きっと死ぬまでこの感覚が消えない事に、

ショックを受けつつ嬉しくもなった。

芸に対する姿勢はいつまでも謙虚。

幕が下りた瞬間に反省を始める。

「人格は最低だが芸は最高」

お弟子さんが談志を表す言葉。

とりわけ、喉頭がんでの入院中、

酸素マスクの下で談志は落語の一節を喋っていた。

この辺りで刈川は号泣。

すごく良いものを見させて頂いた。


没後の10年間、色んな人が立川談志のエピソードを話した。

お弟子さんはもちろんの事、他の芸人や政治家の方まで。

何だか立川談志はまだ死んでないんじゃないかという錯覚に陥った。

人に多く思い出を残した人は、きっといつまでも生きていけるんじゃないかな。

君がしばらく会えていない人だって、その人との思い出を誰かに話せば、

その人はいつでも蘇る。何だか少し気持ちが楽になった。

良いもの見たなって感じがした。


となると、刈川の役目はただ一つ。

君とたくさんの想い出を作ること。

2021年も残りわずか。デートの約束をしよう。

次会える日まで会えない時間を大切に。