ぼくとくらやみ

きゃ！　 

大きな音がして、僕は自分が小さな暗闇にいると気づいた。 

僕はまだ、自分が何かわからない。 

でも暗闇の中で驚きと喜びを感じた。

ゴロゴロ 

ぱくぱく 

ゴックン 

げろげろ 

ジャー 

最近、起きると暗闇からはいつも同じ音がする。 

時々、優しげに　さすさす とんとん　 

僕もなぜか暗闇と一緒に落ち着く。 

僕はまだ、自分では何もできない。 

でも、僕を包んでくれている暗闇が変わっていく。 

ぴ…ザー 

ザー　とんとん　ザー 

何だろ ザー　ザー きゃ！　

ザー　ザー 

初めてのザーザー 

ふぁー 僕はまた暗闇の中で眠くなった。  

ぴ…ザー　ザー　ザー 

また同じ音が暗闇の中でする。 

僕の中にも音がする。 

どくん　どくん　どくん 

ザーザーザー 

ドクン　ドクン　ドクン

 暗闇はなぜか、ほっと安心をした 僕もほっとして、また眠くなった。 

えい！　

動くぞ 暗闇の中で僕は自分が動けることに気づいた。 

えい！ えい！ 楽しいな。 

暗闇はまだそれに気づいてないみたいだ。 

ふあ〜 僕はまた疲れて、眠くなった。 

えい！　えい！ 

今度は何かに当たったぞ 暗闇には壁がある 

遅れて、とん　とん ん？ 

えい！　えい！ 

とん　とん ん？ 

暗闇が　とんとん　と返してくる。 

最近、僕と暗闇は「えいえい　とんとん」ゲーム をするようになった。　 

…ちゃ … ちゃん 

ある日突然、太い音が暗闇に広がる 

聞いたことの無い太く低い音が暗闇を包み込む 

暗闇は太い音に合わせて、とんとん　する。

僕は太い音が気になって動けない。 

僕の知っている　「えいえい　とんとん」ゲームじゃない。  

…ちゃん …ちゃん　ぱっぱ また太い音がする。 

最近太い音は、暗闇に同じ音を響きわたらせる。 

ぱ　ぱ　ぱ　と それに合わせて僕は、えい　と暗闇をける。 

太い音は一瞬静かになり、暗闇に喜びと暖かさが広がる。 

最近暗闇の上から暖かな重い何かがのかっている。

いつしか、太い音の回数は減っていく。 

暗闇が僕を締め付ける。 

暗闇が狭く感じる。 

暗闇は僕に何かを言っている。

 僕も暗闇に頑張って返事をする。 

暗闇は時々苦しそうな声を出しながら、 

それでも僕を優しく包んでくれる。  

ドバドバー とても大きな音がして僕は起きた。 

暗闇に不安が広がっていくのがわかる。 

僕もなんだか心配になる。 

急にいろんな音が暗闇を包んでいく。 

ヒーヒー　フー ヒーヒー　フー 

暗闇が同じ音を繰り返す。 

少ししてから、 太い音のヒーヒー　フー 僕はわけわからず　

怖くて えい　えい 

不安で えい　えい 

 どれぐらい経ったのだろうか 眩しいよ！ 

ギャーギャー 僕から音が出る 暗闇の声がする。 

太い音もする。 

暗闇の外に出たけれど 僕はまだ、何も見えない 

いろんな、初めて聞く音が僕を不安にする 

でも暗闇の中で聞こえた声と太い音は 

暗闇の外でははっきり強く聞こえた。

 一つの声に僕は優しさと暖かさ 

一つの音に僕は安心と喜びを感じた。 

まだ、自分が何かわからないけど 

僕は二つの声に包まれてまた眠くなった。