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ZIPANG TOKIO 2020「日本の風土や日本人の感性にあった書を創始した 小野道風 誕生伝説の地に建つ『道風記念館』は春日井市民の誇り」

2017.05.30 14:50

現代の匠 小林東雲画伯の描く入魂の「小野道風と柳に蛙」の水墨画、膝を折り蛙を優しく見守るような道風公の目元が印象的である

歌川芳幾によって描かれた「錦絵 小野道風青柳硯」小野道風と柳に蛙の話から発展して小野道風と弟たちが悪人を懲らしめる話で、当時は浄瑠璃、歌舞伎の演目でよく取り上げられたそうです

千葉県香取市 水郷佐原・関東三大山車祭りの一つ佐原の大祭「ユネスコ無形文化遺産登録 山車曳き廻し」にも登場.。人気の「小野道風公」やはり誰よりも柳がよく似合います


昭和56年(1981)松河戸町に全国的にも珍しい書の専門美術館「道風記念館」が開館し、小野道風公を始めとする貴重な書作品が収蔵・展示されています。

玄関前には道風公の銅像と石碑、そして柳の木が立っている。季節になると前を流れる庄内川の河原から蛙が遊びに来るそうですよ。道風記念館近くの観音寺では、毎年11月3日に行われる「道風祭」は関係者が集まりお詣りをする。さらに隣の道風公園に移り、小野社に祝詞をあげる習わしです。


春日井市には、平安時代の能書小野道風(894~966)がここで生まれたという伝承があります。この伝承を裏付ける資料として最も古いものは南北朝時代成立とされる『麒麟抄』で、「道風者尾張國上條ニシテ生マレ給ヘリ」とあります。その後、尾張藩の国学者である天野信景(1663~1733)は『塩尻』に「春日井郡松河戸の村民伝云、松河の里は道風の生れし地なりと云云」と記しています。また、誕生地と伝えられる現在の春日井市松河戸町には、尾張藩の儒学者である秦鼎(1761~1831)撰文の「小野朝臣遺跡碑」が文化12年(1815)に建てられ、「松河戸の村民はみな道風がここで生まれたということを伝えている」という内容が刻されています。

 

小野道風を祀る小野社は道風公園の一角に鎮座

 

伝承では「小野葛絃が何らかの理由で松河戸に滞在していたときに、里人の娘との間に生まれたのが道風だった。幼少時代を松河戸で過ごし、10歳ころに父とともに京に上り、書で身を立てた。」ということになっています。残念ながら小野葛絃が尾張国に来たという記録は全くありません。したがって史実とは断定できず、伝承の域を出ないことです。しかし、少なくとも江戸時代中期ころから春日井の住民は、小野道風がここで生まれたと信じ、それを誇りとしてきたということは間違いない事実で、これこそが重要な事実です。そして、「私も道風さまのように字が上手になりたい」と考える人も多く、自然に書の盛んな土地柄になったのです。

                                          小野道風肖像画 観音寺蔵


小野道風(894年から966年)は、平安時代中期を代表する能書(書の上手な人)です。
小野道風の家系、小野氏は遣隋使で有名な小野妹子を祖先として、岑守・篁・美材等の学者や能書を輩出した名族でした。 
幼いころから字が上手だった道風は、書をもって宮廷に仕え、数々の輝かしい業績を残しました。

10 歳頃に父とともに京に上り、12 歳で天皇に書を献上したといわれています。

道風の日本書道史上における功績を一口で言えば、それまでの中国の書の模倣から脱して、日本の風土や日本人の感性にあった書を創始したことです。その優美な書は和様の書と呼ばれ、道風とともに三跡と称される藤原佐理に受け継がれ、藤原行成によって大成され、その後の日本書道に大きな影響を与え続けました。

 

 小野道風年譜


             道風公園にある小野道風公誕生伝説地

           小野道風誕生伝説地に建つ小野朝臣遺跡碑


書のまち春日井と道風記念館

 現在の小野道風顕彰活動の契機となったのが、昭和19年(1944)に開催された小野道風公生誕1050年祭です。太平洋戦争末期の混乱のなかにもかかわらず、全国から書家・歌人・詩人らの文化人が多数参加し、道風をたたえる内容の詩歌や書作品が奉納される盛大な祭典でした。その5年後の昭和24年からは、全国公募の書道展である小野道風公奉賛全国書道展覧会(道風展)が、毎年11月3日に催される道風祭に合わせて開かれるようになりました。

生誕1050年祭やその後毎年の道風展に参考作品として寄せられた書作品は大切に保存され、800点ほどになっていました。それらの作品を多くの方に鑑賞していただくために、また、小野道風の偉業を広く知らしめるために「春日井市道風記念館」の建設がされることになり、昭和56年に開館しました。 開館後も収蔵品の充実につとめ、現在では奈良時代から現代の書家の作品まで幅広い書道関係資料を収蔵し、さまざまな書作品を展示しています。また、書に関する講座などを開催し、「書のまち春日井」の中核施設として書道文化振興のための事業を展開しています。 

 

主な収蔵品

大聖武(伝聖武天皇筆賢愚経断簡) 伝朝野魚養筆阿含経断簡 伝小野道風筆本阿弥切 伝小野道風筆本阿弥切 伝小野道風筆八幡切 伝小野道風筆愛知切 伝小野道風筆紺紙金字法華経断簡 伝小野道風筆紺紙金字法華経断簡 伝藤原公任筆石山切 伝藤原佐理筆通切 伝宗尊親王筆十巻本歌合 伝藤原忠家筆柏木切(小野宮右衛門督君達歌合) 伝藤原忠家筆柏木切(楳子内親王男女房歌合) 藤原基俊筆多賀切 藤原俊成筆顕広切 藤原俊成筆御家切 伝飛鳥井雅有筆八幡切 伝久我通親筆龍山切 藤原教長筆今城切 正徹懐紙 本阿弥光悦短冊 近衛家熈和歌懐紙 巻菱湖 貫名菘翁 市河米庵 頼山陽 丹羽盤桓子 村瀬太乙 松田雪柯 森春濤 中林梧竹 長三洲 巌谷一六 日下部鳴鶴 楊守敬 西川春洞 小野鵞堂 柳田泰麓 近藤雪竹 丹羽海鶴 渡辺沙鷗 中村不折 中村春堂 比田井天来 尾上柴舟 豊道春海 川村驥山 田代秋鶴 川谷尚亭 鈴木翠軒 


平成手鑑

手鑑とは古筆切を折帖に貼り込んだもので、「手」は筆跡、「鑑」は模範の意味です。茶道の流行に伴って古筆切の鑑賞が盛んになった江戸時代には多くの手鑑が作られました。

この「平成手鑑」は、平成6年に小野道風生誕1,100年を記念し、古筆手鑑に倣って平成の書を後世に残そうと制作したもので、現代書家約1,100人の作品を43帖の折帖に貼り込んであります。

 道風記念館内のご案内

1階展示室

春・秋の特別展、夏休みの子ども向け展示、館蔵の近現代書作品をご紹介する館蔵品展など、様々な展覧会を開催します。

2階展示室

 この写真は、道風の書臨書作品展の会場風景です。展覧会のほか、特別展講演会や講座もこの展示室を使用します。

2階フロア

2階の壁面に常設展示していますのは、山内一生氏作の小原和紙工芸品です。

2階図書閲覧コーナー

道風記念館では、書関係の図書の収集に努めております。ここで、館蔵の図書を閲覧していただけます。貸し出しはしておりません。

常設展

平安時代の能書である小野道風をはじめ平安時代の書を、精巧な複製品やパネルでご紹介しています

小野神社(滋賀県大津市)


メイン展示室 開催中の展覧会


道風記念館館蔵品展「文人の書」 平成29年5月19日(金曜日)から7月17日(月曜日・祝日)まで  

これからの展覧会 企画展「おののとうふう~道風が生きた時代~」 平成29年7月21日(金曜日)から9月3日(日曜日)まで

※展覧会 企画展は会期後は他の企画となりますので、内容につきましてはその都度お問い合わせください。


お問い合わせ先

道風記念館 〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町5-9-3 電話: 0568-82-6110


参考

小野神社(滋賀県大津市)

JR和邇(わに)駅から南約1.1kmのところに小野神社があります。
木々が生い茂る静かな雰囲気の中に、社殿が趣のあるたたずまいを見せています。

祭神の米餠搗大使命(たかねつきおおおみのみこと)は、遣隋使として随の国に赴いた小野妹子(おののいもこ)の先祖で、孝昭天皇の第1皇子である天足彦国押人命(あまたらしひこくにおしひとのみこと)の7代めの孫にあたり、応神天皇の頃に日本で初めて餠つきをしたと伝えられています。そのため、菓子作りの神様として菓子業者から広く信仰を集めています。

同じ境内の中に『令義解(りょうのぎげ)』の撰修(せんしゅう)に参画(さんかく)した小野篁(おののたかむら)を祀る小野篁神社や平安時代の能書家の一人と伝えられる小野道風を祀る小野道風神(とうふう)神社があり、社殿はそれぞれ国の重要文化財に指定されています。

社宝の中に、平安時代末に書かれたといわれる大般若経(だいはんにゃきょう)600巻と南北朝の年号が墨書されている経箱があります。

〈重文〉小野道風神社本殿 小野篁神社本殿



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使



協力(順不同・敬称略)

道風記念館 〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町5-9-3 電話: 0568-82-6110

小林東雲 画伯 
〒144-0052 東京都大田区蒲田1-11-7 東雲庵 Tel 03-3731-9195
(小林東雲事務所)

(公社)びわこビジターズビューロー 広報情報部
〒520-0806 大津市打出浜2番1号「コラボしが21」6階 TEL 077-511-1530

小野神社 滋賀県大津市小野1961

香取市役所〒287-8501 千葉県香取市佐原ロ2127番地 電話:0478-50-1212