心感デッサン
2021.12.02 06:55
心感デッサン
2021.12.2
by frogmorton
"月々に 月見る 月は 多けれど
月見る 月は 此の 月の 月"
宵山 恋しく 夢 現
古月 淡く 山裾 朧に
懐かしき 寝床の 窓から
幾年 眼にした 景色
其れは 温かい 祖母 の
匂い と 等しく
冬至 近づく こんな 日 に
故郷 の 空に 浮かぶは
真っ朱 を 放つ 夕暮れ と
頭上 にて 淡い 群青
灰色煙 の 隙間に
瞳 奪われし 光る 一番星
白紙 に 一本 線すら 描けず
遊ぶ 右手を 沸々 恨めし
夜風 染み入り 息 白く
此の 命 欲する 方々 へ
散らばり 届け と 願えど
まだ 呼吸は 止まず
収縮 された 優しさ を
振り撒けば 其の 虚しさや
走っている 時は がむしゃらに
ふと 立ち止まれば
(私は 何処へ 向かっているのだろう)
神経が キリキリ きしむ
辛い 辛い と 哭いている
此の身 日々 も 無く
安堵 の 地 を 求めてゐて
現世 を 目 に 宿し 遺すのは
只 空しき 事象
悟りし 心中 は
潤む 眼で 宵月 に 魅かれ
影射す 顔に 真実 を 視
今夜も 手 を 合わせる
声が 届かぬ 枯れ花々 よ
季節に 従う 耐えし者達
此の 私 を 許しておくれ…
晴れて 飛び立つ 時には
必ずや ひとつ と 成ろう
"此ぞ 我が 願ひ なり"