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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ナポレオン44-大陸封鎖が招いた飲料革命

2021.12.02 11:13

大陸封鎖は皮肉なことに世界各地で飲料革命をもたらした。イギリスでは、フランスのワインが飲めなくなり、そこで普及したのが、英国産大麦麦芽から作られるスコッチウィスキーが(この頃実は密造酒)、普及するようになり、樽で保管されることで高級化してゆき、蒸留法もできる。

中南米植民地では、砂糖の輸出が激減してしまう。そこでサトウキビの新たな利用法として、砂糖を発酵させてラム酒をつくる。ラム酒は奴隷や海賊の酒といわれたが、これも蒸留法ができて、立派に販売できる酒となって、アメリカで大人気となり、種類も増えた。

フランスでは、サトウキビ原料の砂糖からテンサイを原料にした砂糖をつくった。ナポレオン戦争が終わって砂糖の輸入が復活すると、テンサイ糖はホワイトリカーやリキュールに使われた。そしてコーヒーである。中南米諸国は砂糖からコーヒーのプランテーションに切り替え、ブラジルが一大コーヒー産地になってゆく。

一方コーヒーが来ない欧州では、イタリアで小さいカップで飲むエスプレッソが作られた。そして「砂糖とコーヒーの不足はドイツ人をナポレオンへの蜂起に導いた」とマルクスは、ドイツイデオロギーに書いている。