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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

苦悩と歓喜10-エリーゼのために

2021.12.03 11:29

フランス軍が去り、疎開者も戻ってようやく落ち着いて、活気を取り戻したウィーンで、ベートーヴェンはまた創作意欲が出てくる。そして彼は恋をする、まずテレーゼ・フォン・アルファマッティ、当年18歳、ベートーヴェンは39歳、年齢的には微妙だが、本気で結婚を考えたらしい。

彼女にはピアノソナタを捧げているが、最も有名なのは「エリーゼのために」これは自筆譜発見者がそう書かれていたと言っているのだが、この自筆譜は消失している。エリーゼは残念ながらすぐ結婚してしまった。そしてある人を通して、ゲーテを紹介される。その人にゲーテは「彼とお近づきになりたい」と手紙に書いたそうだ。

1811年4月12日に、ベートーヴェンはあこがれのゲーテに手紙を書く。彼は幼少の頃からゲーテの書物に親しんでいた。ゲーテも6月にていねいな返事を送り、この歴史的な出会いは、翌年実現することになる。

夏には、ピアノソナタ「告別」を捧げたルドルフ大公に荘重な弦楽四重奏「大公」を捧げる。このようなポジティブな状況の中で作曲されたのが交響曲第7番である。第5番の深刻さ、第6番の静かさからうって変わって、華やかなリズムで、ワーグナーは「舞踏の聖化」と呼んでいる。