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オールド・キャンパーの独り言

地獄の釜の蓋(キランソウ)

2017.06.05 12:25

 野原などで普通に見られる雑草で、茎は地上を這い、春になると濃い紫色の唇型の花を付ける「キランソウ」という草があります。

 「き」というのは、紫を表す日本の古い言葉で、「らん」は藍色の意味ですので、キランソウというのは、紫と藍色をした花が咲く草ということのようです。

 このキランソウですが、墓地などにもよく生えていてお彼岸の頃にこの茎や葉がべったりと地を這う姿が見られることから、「地獄の釜の蓋」という別名があります。

 また別の話では、キランソウは、咳を鎮め、痰を取り去る薬効があるだけでなく、解熱、健胃、下痢止めにもよく効き、虫にさされた場合には茎や葉をもみつぶして塗ると良いと言い、化膿した切り傷や腫れ物などにつけると「ウミ」を出し、うるしかぶれや草負けの場合には、煎じた液で患部を洗うとよくなるのだといいます。

 このように様々な薬効があるために「医者いらず」とも呼ばれ、病気で死にかけている人でもこの草で生き返り、一度開いた「地獄の入り口に蓋をする」と言う意味から「地獄の釜の蓋」と呼ばれるようになったという説もあるようです。

 そう言えば地獄の閻魔大王は、亡くなった人が次の世では、どこの世界に生まれるのかを決める裁判を行うのだそうです。まず、閻魔大王は手元の帳面を見ながら罪状を述べます。この帳面が閻魔帳と呼ばれるものです。また、閻魔大王は、水晶で出来た大きな鏡を持っています。この鏡には生前の行動がそのまま映し出されるので、生前の行動が周りにどんな影響を与え、本人の行動によって周りの人がどんな悲しい目にあったのかまで映し出されるのだそうです。この鏡が「浄玻璃の鏡」と呼ばれるものです。

 「浄玻璃」というと「ジョハリの心の四つの窓」を思い出します。

 人の心には、「開放された窓」、他人には見せない「隠された窓」、他人には見えるが自分には見えない「盲目の窓」、自分にも他人にも見えない「未知の窓」という四つの窓があります。自己啓発と自己開示の必要性を訴えて何百回といえず口にしてきた「ジョハリの窓」です。

 この「ジョハリの窓」は、アメリカのジョセフ・ラフトとハリー・イングハムという姉妹が考案したので二人の名前を採って「ジョハリの窓(The Johari Window)」と呼ばれているものなので、閻魔大王の「浄玻璃の鏡」とは、何ら関係はありません。

 しかし、何の関係もないはずのものが、よく似たように聞こえる。全く時代も場所も違うのに誰かと同じことを言っているのを聞いたり見たりする。そんな経験はありませんか。