近代思想4-ヘーゲル弁証法の確立
2021.12.04 11:20
1811年ヘーゲルは「論理学」第一巻を刊行した。これから第三巻「小論理学」で、ヘーゲルの哲学の方法は確立される、それは一言でいうと「弁証法」である。ヘーゲルの画期的なところは、すべてのものは自分の中に対立物を抱えているとしたことである。それが発展の原動力となる。
例えば人間の生の中には反対の死を抱えている、我々は日々この連続であって、元気になったり不調になったりしている、これを「対立物の統一」という。しかしその行ったり来たりではない、とヘーゲルは言う。それは次の次元にアウフヘーベンされる。生と死の事で言えば、医者に行くことに当たるだろうか?
カントは、悟性で捉えられないことはどちらともいえない「二律背反」に陥ると述べた。しかしヘーゲルは、運動と発展の中で考えると「二律背反」は解消される、と述べる。例えば宇宙は有限か無限かという問いには、現代科学は、有限ではあるがその中で無限性を持っていると解答する。
ヘーゲルの時代は、まさに社会が揺れ動く時代、輝かしいはずの啓蒙が内乱や独裁を生んだ、時代は混乱するばかりである。しかしヘーゲルはポジティブに、行ったり来たりしている時代が、次に新しい時代を生むと考えるのだ。このポジティブさは、ゲーテもベートーヴェンも共有している。