KYOSHO CUPにおけるオプティマセッティングのポイント
開発担当の古屋です。
前回はKYOSHO CUPの開幕直前にプラズマLmのチーム戦をご紹介させて頂きましたが、今回はKYOSHO CUPバギークラス公認車両のオプティマを、KYOSHO CUPならではのオンロード路面 + 障害物という、KYOSHO CUPならではのロケーションに合わせたセッティングをご紹介させて頂きたいと思います。
まずオプティマの簡単なご紹介をさせて頂きますと、32年前に4WDの革命児としてRC界にその名を轟かせた名車でございますが、改良復刻版ともいえるビンテージシリーズでは見た目のデザインは当時を忠実に再現しつつ、さらに現代のテクノロジーと高精度加工、そしてマテリアル(材質)の見直しによる強度確保など進化したスーパーマシンに仕上げられております。
なんといっても当時のチェーン駆動を再現し、さらに当時は後にオプションとして一世風靡したベルト駆動の2種類からチョイスできるキット内容となっております。個人的にはチェーンが大好きでしたので、チェーンのほうが魅力を感じますが、KYOSHO CUPに参戦する場合、パワーを抑えた27ターンモーターのG27モーターが唯一の指定モーターとなっておりますので、駆動ロスを抑えたベルト駆動をお薦め致します。
KYOSHO CUPでは、イコールコンディションを維持した楽しめるラジコンレースを展開するために車両規定(レギュレーション)で使用できるパーツやモーター、バッテリーなどが制限されています。詳しくはHPをご覧下さい。
http://www.kyosho.com/rc/ja/race/presently/kyosho_cup/index.html
では、KYOSHO CUP参戦を想定したセッティングをご紹介させて頂きます。
まず、本日ご紹介する中で最も特殊なセッティングがデフギヤです。オフロード走行と異なり、KYOSHO CUPの場合、オンロード路面にジャンプ台と障害物を通過する競技ですので、グリップさせて走行する分、コーナリングで内側のタイヤが浮いた時のタイヤの空転を止めるためにデフギヤを硬くするのが効果的です。
デフギヤは前後硬くしますが、フロントをより硬くします。イメージとしてはフロントはデフロックに近い硬さで、車を手で持ち上げて片方のタイヤを回した時に中央の駆動ベルトが回転するくらいの硬さにします。
リアは車を手で持ち上げて片方のタイヤを早く回した時に中央の駆動ベルトが半分ぐらい回転し、ゆっくり回すとベルトは回らずデフが作動し、回転させているタイヤと反対側のタイヤが反転する硬さに致します。
分解したデフは洗浄スプレーなどでよく洗浄し、ティッシュなどでしっかり拭き取り&乾かしてください。私はフロントデフには#300000(30万番)、リアデフには#50000(5万番)の固めのシリコンオイルを使用しました。
デフを組み立てる時に注意して欲しい点がございます。それはグリスを注油することです。シリコンオイルはオイルといっても成分はシリコンであり、油に比べると潤滑性は乏しいので回転部分やギヤの皮膜にはグリスが必要になります。グリスはキットに付属している物、または市販のモリブデン系のグリスでもいいですし、KYOSHOから発売しているHGジョイントグリス(No.96508)も最適です。
シリコンオイルを入れる前に、説明書のどおりシャフトやシャフトが通る穴にグリスを付け、シャフトを軽く回して馴染ませます。写真はHGジョイントグリスを使用しています。
そして、ベベルギヤにもグリスを付けます。デフケースを仮組みした状態で軽く回して、ベベルギヤ全体にグリスを馴染ませます。
シリコンオイル#50000(40cc) No. SIL50000
シリコンオイル#300000(40cc) No. SIL300000
そして、いったんケースを開けます。ここでシリコンオイルを注入します。
シリコンオイルは前後とも深いほうのデフケースに7分目から8分目ぐらい注入します。
注入量で硬さが変化します。シリコンオイルを入れ過ぎてしまうと、中でシリコンオイルの逃げ場がなくなってデフが極端に硬くなったりロックしますので、デフケース内に30%位の空気室を作る感じで組み立ててください。硬いシリコンオイルの注入は浸透するのに時間がかかりますので、シリコンオイルをのせて、浸透するまで放置してくださ
オプティマは当時の部品を極力忠実に再現しているため、近代の物と比べるとメンテナンス性が悪く、完成した車からデフギヤを外すのは、ほぼ完バラ(完全にバラバラ状態)にしなければならないため、レース当日に行うのは厳しいと思いますので時間に余裕がある時に根気強く挑んでください。新車を組む時に行うとベストです。
次はタイヤです。
レースに使う場合、タイヤの性能はやはり近代の物がベストです。レギュレーションでマッドバグ用のタイヤ、ホイールの使用が認められています。
ダートホグ用のホイール(フロント)No.FAH203BK
ダートホグ用のホイール(リア)No.FAH204BK
フロントタイヤ/2pcs No. FAT201S(ソフト)
リアタイヤ/2pcs No. FAT202S(ソフト) / FAT202SS(スーパーソフト)
リアタイヤは新たにスーパーソフト(SS)が発売されました。KYOSHO CUPのオンロード路面ではS、またはSSをお薦めします。しかし、オンロード路面の場合、タイヤに付属しているインナースポンジは柔らかいため、プロライン、AKAから発売されているモールドインナースポンジを使用して頂くとコーナリング時にタイヤのヨレが抑えられ、より転がる感じでコーナリング時の回頭性が向上します。
マッドバグ用のホイールを使用される場合、オプティマ用のホイールと比べてホイール取付面の厚みが薄いため、ホイールナットを締めてもガタが出る場合があります。ホイールスペーサーを合わせてお使い頂き、ガタをなくしてください。
写真はTFW004 ホイールスペーサーセット(0.5/0.75/1.0mm 各2枚入)
※ 左右同じ厚みの物を挿入してください。
プロライン製のモールドインナースポンジもぜひお試しください。
EPバギー Closed Cell 4WDフロントインナー(6185-02) 612205B
リアは2種類あります。
左側 EPバギー Closed Cell リア インナー(6185-01) 612204B
右側 EPバギー V2 Closed Cell リア インナー(6185-04) 612207
オンロード走行の場合、オフロード走行よりもタイヤのトラクションが高くグリップしますので、サスペンション(スプリング、ダンパーオイルダンパー)は前後とも硬めにセッティングします。
フロントスプリングセット OTW123
リアスプリングセット OTW124
ダンパースプリングはノーマル(黒)、もしくはオプションのハード(金)がマッチすると思います。ダンパーオイルは#200~#400くらいがよいと思います。私は前後とも#300を使用しています。
シリコンオイル#300 SIL0300-8
オイルダンパーのオイル注油の解説は4月17日に私が書き込みしたターボスコーピオンで詳しく解説しておりますので、そちらをご参照ください。
フロントにはダンパーの角度を立たせた状態のワークスダンパーステーがお薦めです。
ワークスカーボンフロントショックステー OTW108
車高はオンロード路面に合わせて低くセッティングしますが、ジャンプや障害物の走破も踏まえると下げ過ぎず、やや低めくらいがよいと思います。
リアのサスアームがほぼ水平の状態。真横から見て水平より若干前下がりの状態を目安にセッティングして頂くのがよいと思います。
キャンバー角はやや強めに付けます。KYOSHO CUPはエンジンカーの種目もありますので、決勝に進むにつれてグリップが上がります。ハイグリップ路面ではハイサイドをして転倒することもあります。ハイサイドをする時はできるだけ車高を下げ、さらにキャンバー角を強くすると効果的です。
あくまでも目安ですので、常にこれがベストではありません。お好みや状況に応じてセッティングを変えて下さい。
最後にバッテリーにつきまして、世間一般にLi-Poバッテリーが普及しておりますが、多くの火災事故が報告されているため、安全面への配慮によりKYOSHO CUPでは現在ニッケル水素バッテリーのみの使用に限定しています。Route 246マッスルパワーニッケル水素バッテリーシリーズ(7.2V)がすべて使用することができます。ほとんどの参加者が電圧が高く、パワーがあるマッスルパワー3600HVを使用されています。
マッスルパワー 3600HV 7.2V Ni-MH バッテリー R246-8454
ニッケル水素バッテリーはLi-Poバッテリーの ように継ぎ足し充電には向きません。継ぎ足し充電したニッケル水素バッテリーは「メモリー効果」という現象で本来の性能を発揮できないことが化学的に証明されています。バッテリーはゆっくり時間をかけて放電し、空の状態から一気に4~5Aで充電し、走る直前のタイミングで充電が完了し、本番で使用すると最大限のパフォーマンスを発揮します。放電器は充電器に付属している1A程度のもので十分ですので、ぜひお試しください。
また、ニッケル水素バッテリーは連続使用にも不向きです。続けざまに使用すると二度目以降のパフォーマンスは低下します。電圧(V)が低くなり、パンチがなくなります。出来れば数本をご用意頂き、レースでは1日1回の使用をお薦め致します。少ない本数でレースで使う場合は、走行後の残量を放電器で放電し、30分以上休めて熱を冷ましてから充電を開始してください。使用する間隔を空けることでバッテリーの内部活性が安定し、休めるほどパンチ力が回復致します。
では、皆様のご健闘をお祈りいたします。