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富士の高嶺から見渡せば

「慰安婦問題」で新たな反日組織

2017.06.14 05:47

韓国の反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」は6月9日、新たに「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団(正義記憶財団)」を設立した。国連人権委員会の認可も得たとして、今後は全アジアの日本軍性奴隷被害者らのほか、世界各地の戦時性暴力被害者とも連帯し、活動の強化を図るという。一方、同じ日、日本でも、慰安婦問題の活動家や弁護士らが集まり、一般社団法人「希望のたね基金」が設立された。慰安婦問題を「終わらせるのではなく、記憶・継承」を目指すとし、学生を対象とした年2回の韓国への「スタディーツアー」などを実施し、慰安婦問題に関する日韓の学生交流を支援するのだという。

(産経新聞6月10日「日本バッシング激化の可能性 日韓に新たな『慰安婦問題』財団を設立」)

(産経新聞6月9日「慰安婦問題 日韓合意に反対する日本の活動家・弁護士が新組織立ち上げ」)

(北海道新聞6月9日「慰安婦問題で深まる日韓の溝、埋めたい 北海道出身の梁さんら基金で交流推進「韓国の若者の気持ちに理解を」)

「希望のたね基金」の梁澄子(ヤンチンジャ)代表理事は、基金設立の目的について「(日本の)若者たちに慰安婦問題についてきちんと伝えるのが、(日韓合意破棄に向けた)最も現実的な(解決の)道だと思った」としている。

(ハンギョレ新聞6月10日「梁澄子代表理事インタビュー」「日本の若者たちに慰安婦の歴史をきちんと伝えるべき」

それにしても、なぜ日本の若者たちなのか?日本の若者に慰安婦の記憶を継承してほしいのだというが、今の日本に「慰安婦」を生み出すような状況があるとでもいうのか?あるいは将来的に、日本が再びアジアの女性を強制的に「慰安婦」に駆り立てる可能性でもあるというのか?

過去の記憶の継承というのなら、「20万人」もの少女たちを「強制的」「集団的」に連れ去られたにも拘わらず、何の抗議もせず、救援の手も差し出さなかった当時の親や兄弟たち。さらに、戦後40年以上もたって、日本側に吉田清治という詐話師が現れ、虚偽の証言をしてから、元「慰安婦」だと名乗る女性がようやくカミングアウトし、それまで韓国社会はこの問題に見向きもしなかったのはなぜか。そうした自身の「民族の歴史」にこそ冷静に目を向け、「民族の記憶」を正確に継承していくべきだろう。

現代の女性をめぐる人権侵害や抑圧、差別は、残念ながら日本ではあまり問題にされたことはなく、むしろ北朝鮮や韓国をはじめ、中国・インドを含めたアジア諸国、それに中東・アフリカの多く国々で、今も悲惨な状況が続いているのが実態だ。

韓国「挺対協」や日本の支援団体が、70年以上も前の、しかも「旧日本軍」に対象に絞って女性の人権問題を扱うことは、現実に今、世界中で被害を受けている女性から目を逸らし、救出に向けた援助活動に水を差すものでもある。

人権条約に基づく拷問禁止委員会が5月12日、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について、被害者への補償などが不十分として、合意の見直しを勧告する報告書を発表した。

(産経新聞5月13日「国連委員会が「慰安婦」日韓合意見直しを勧告「補償や名誉回復は十分でない」) 

こうした国際機関がわざわざ遠い過去の慰安婦問題を取り上げ、被害者の救済を訴えること自体、現実に今の時代に起きているさまざまな女性の人権被害の解決を無視し、それにむけた努力に背を向けるものではないか。

IS(イスラム国)の迫害を受け、拉致されたシリアやイラクの女性たち、反政府組織ボコ・ハラムに誘拐され行方不明となっているスーダンなどアフリカ諸国の少女たちの問題、いまだに花嫁は人身売買の対象になっている中国や北朝鮮の現実、ベトナム戦争に出兵した韓国兵やフィリピン駐在の韓国人ビジネスマンらが現地に多数の混血児を残してきた問題、今も毎年、何万人もの韓国女性が海外に出稼ぎにでる売春産業の闇のネットワークなどなど。今,この時間にも、悲しみに打ちひしがれ、救いを求めて叫び声を挙げている多くの女性の存在を放っておいて、残り30人あまりの元「慰安婦」の解決を優先する必要があるというのなら、その理由を教えてほしい?

韓国「挺対協」や日本の支援団体が作った新たな財団、基金は、2015年12月の慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的解決」を目指した「日韓合意」の破棄を目指している。しかし、この「合意」のもつ意味が、日・韓でまったく真逆であることを、彼らは理解していない。日本は、今の若者を含め、将来の子や孫に永遠に謝罪し続けさせる運命をこれ以上、背負わさないために、元「慰安婦」と称する女性たちの真偽不明の「強制連行」証言を一部認める形で、合意をし、その代わりこれですべて手打ちにし終わりにしようという趣旨で、合意を交わしたのだ。一方、韓国側は、日本から謝罪と補償を引き出し、永遠に日本を責め立てることができれば、それで満足で、この問題を終わらせるつもりなどは初めからなかったのである。

文在寅大統領は5月11日の安倍総理との電話会談で日韓合意は「国民の大多数が情緒的に受け入れられないのが現実だ」と述べた。それをいうなら、日本国民の大多数の情緒も「もういい加減にしてほしい。われわれは、何度、謝罪すれば済むのか。この問題を未来永劫、引きずっていくつもりなど、われわれにはない」というのがホンネだろう。だから「日韓合意」は、「最終的かつ不可逆的に解決」したものとして、近代国家同士が国際的に約束したのだから、そのとおりに実行していくしかなく、見直しや再交渉などありえない。