花と虫。
「ヒマワリにね、変な虫が居着いてて。
ちっさいのがにょろにょろと動いてる。」
この言葉に反応して、全員がヒマワリに集合する。
じーっとヒマワリを眺めていると、
「あ!!!いた!!!」
と、興味津々に花を眺める小学生。
「この虫は、なぜこの花にいたのだろう?
何を求めてこの花のところにいるんだろう?
自然界に理由のないものなんて存在しない。
理由なくあれこれ行動するのは、
本能と別の思考を持つ生き物だけだ。
この虫は何をしているのだろう?
君たちにそれが想像できるかい?」
ちょっと前にも、蝶の眼について
図鑑を見せながら話をしたことがあった。
「蝶は、みんな同じ色をしているように見えるが、
実は蝶の眼にはオスとメスは結構色が違っているらしい。
ちょうど図鑑に蝶の眼から見えるオスメスの
比較の画像があったんだよ、面白かった。
我々には似たように見えても、
彼らは誰がオスで、誰がメスかよくわかっている。
だから、間違わずに交尾をし、子孫を
残すことができているんだよ。
また、蝶から見れば、人間が見ている花の色も
また別の色に見えているらしい。
自分が見ているものと他の生き物が見ているものは
実は結構違っているのかもしれない。
だから、世界を知るには自分の目だけでは足りないんだよ。」
私は授業以外にもこんな話を子どもたちに
してあげるのがとっても好きだ。
「先生って変だね?」
とよく言われるけど、君たちには
私の眼の一部を授けているような気持ちなんだよ。
こんな目線で物を見ると、
きっと面白い見方ができる。
こんな観点で物を見ると、
きっと同じものを見ている他の人と
別の感覚を得ることができる。
賢くなってもらいたいのではない。
別の人の目を借りて、世界を一層楽しめるように
なってほしいんだと近年では特に思うことが多い。
指導観は、ここ数年で随分変遷したが、
今、一番自分らしく生徒たちを指導できてると、
今こそが自分の最上だと、
毎年のことにように思うが、今年もそうだ。
来年も、その次の年も、私はもっと
生徒にとって面白くなれると思う。
自然と私と一緒にいて、お互いに影響を
与え合いながら子どもたちはこの場で過ごす。
私は、多分”塾”を営んでいるのだろう。
”成績屋さん”ではなくてね。