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uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

卒業

2013.03.18 22:51

わシリーズ:いま22歳の息子が中学校を卒業するときに書いたエッセイです。

卒業

 

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 気持ちよく晴れた青い空。

 その日、息子が通っていた中学校の卒業式に、妻とともに参列した。



 式を厳かに終えたあと、卒業生と在校生で「巣立ちの歌」を爽やかに歌い、最後は卒業生だけで「旅立ちの日に」を合唱した。



 歌っている子どもたちの顔を見ながら、私は昔のことを思い出していた。

 



 みんな赤ちゃんだったのに。

 手をつないでいないと歩けない甘えん坊だったのに。

 抱っこされるのが大好きで、いつも私たちの腕のなかでスヤスヤ眠ってくれたのに。

 それが、こんなに大きくなって、立派になって。



 君たちが私たちのそばにいてくれただけで、私たちはなによりもうれしかったのだよと、そんなことを思って聴いていた。



 歌が半ばをすぎると、女の子たちの顔が泣き顔になっていた。

 今まで我慢していたのだけれど、もう堪えきれなくなっていた。

 男の子たちも、いつものシラケた顔じゃなくなっていた。

 がんばってるがんばってる。

 みんなこの歌を歌いきろうとがんばっている。

 

 この歌がみんなでうたう最後の歌だ。

 この歌が終わったら、みんなは大空に飛び立っていく。



 パチパチパチパチ。

 大きな大きな拍手の中、それまで背をむけていた指揮者の女の子がゆっくりと振りむいた。

 

 その顔は涙。顔じゅうに涙。止まらない涙。



 がんばった、みんながんばった。みんながんばって生きてきた。

 パチパチパチパチ。



 涙も拭かずに拍手するみんな。

 先生も保護者も在校生も、みんなが君たちに拍手した。

 卒業おめでとうと拍手した。

 そう、卒業はけっして悲しいことじゃない。

 どこか別の世界に消えてしまうわけじゃない。

 ひとりひとりが夢を抱いて空に飛び立つお祝いの日なのだ。



 おめでとうおめでとう。

あなたたちに巡りあえて、本当によかった。おめでとう。