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uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

ピロクテテスのグローブ

2013.03.31 21:54

なかなか古ぼけてしまったパンチンググローブ。

サンドバッグを叩くと、中のスポンジが砂のように流れ出てきて、いまではなんだか皮だけの手袋みたい。



もう賞味(?)期限ははるかに過ぎてしまったけれど、思い出が多すぎて捨てられない。

 



このグローブは新潟市江南区の亀田の総合格闘技道場ピロクテテス新潟で買った。

 

もう十年以上前だろうか。

力の弱い女性や子どもたちが卑怯な暴漢に襲われたときに、あきらめず、なんとか生き延びるために「せとぎわの護身術」という本を書いた。

 

暴漢相手にどうやって勝つかではなく、どうやって生き延びるかに焦点をおいたこの本は、おかげさまでけっこう売れた。

 

その本を作るのにたいへん尽力してくださった人が、ピロクテテス新潟の風田陣先生なのだ。

 電話で取材のアポを取り、ドラ焼きを手土産に道場にいった。

そこではじめて先生に会って、すぐにわかった。

 

この先生は強い。

 

「これ、おみやげです」とドラ焼きを渡したとき「ありがとうございます。甘いもの、大好きなんです」と笑顔でおっしゃる先生の、見事なまでの殺気のなさ。

 

こういう人は、強い。

自分の殺気を完璧にコントロールできているのだ(この予感は見事にあたった。試合のときの先生の恐さといったら、もうとんでもない)。

 

一通りお話を伺い、そして先生の考えた「生き延びる技」を教えていただき、道場をあとにした。

 

そのとき「フジタさん、よかったら入門してくださいよ」と言われ「そうですね」と答えて、翌日、入門した。

 

「あ、ほんとにきてくれたんですね」と先生は喜んでくださった。

 

すでに某武道協会の関係者であったわたしであるから、じつはおいそれと他流派の格闘技ジムの練習生になってしまっていいものかという心配もあったが、どうも「ここで終わってしまってはいけない」という気がして入門してしまった。

 

そのとき買ったパンチンググローブが、これだった。

それまで空手の拳サポーターは持っていたけど、グローブは持ってなかったので、とってもうれしかった。

 

その後、飲み会要員のようなわたしではあったが、先生の道場に籍を置いていた。

もうトシヨリのわたしだから試合に出るわけでもなし、マイペースで楽しませてもらっていた。

 

 

だか、2年前の春、わたしはとつぜんピロクテテスを退会した。

なにか不満もあったわけではない。ただ、会費をほかに使いたいと思ったからだ。

 

そう先生にメールしたら、先生はすぐに「わかりました」と返事をくれた。

そして、わたしの考えに賛成してくれた。

 

 

かなり話が長くなってしまいそうだ。

今日はとりあえずこのへんにして、続きはまた後日ということにいたしましょうか。