藤田市男成分
2016.05.02 22:58
いつかも紹介したけれど、伯父、元祖藤田市男の話をもう一度書く。
伯父は二十代で戦死した。
結婚して幼い娘さんがいたが、病死した。
奥さんはその後、説得され、再婚した。
仏壇の間に飾ってある写真は、陸軍の軍服姿だ。
色白で端整な顔立ちをしている。
勉強ができて、そして軍隊では厳しい人だったそうだ。
それは、ずいぶん前に死んだ親戚の爺ちゃんが教えてくれたこと。
わたしの父が、まだ子どもだった頃に藤田市男伯父は死んだ。
前日の戦闘で、大きな怪我を負っていた。
おまえは行くなと言われたけれど、それでも出撃して死んだ。
それは、その戦友という人が仏壇の前で泣きながら、幼いわたしに教えてくれたこと。
その人が、髪の毛と指の骨を持ってきてくれたと聞いている。
子どものころから、その遺影を見ていた。
優しそうな顔しているけど、おっかないのかなと思って見ていた。
そうだな、命懸けの軍隊だもの、命懸けの号令をかけていたんだろな。
藤田市男成分、二人で使っちゃったけど、あとどのくらい残っているんだろう。
藤田市男伯父、あなたはいちばんキレイなときに死んだ。
いつまでも、若いお顔でこちらを見ている。
わたしはあなたの死後に生まれ、あなたの倍以上も生きた。
あなたが死んでくれたおかげかもしれないです。
いまわたしがここにいるという、運命の不思議を感じる。