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Watch and  Relax

2021.12.07 15:00

今は日本だけでなく世界で、ヨガは行われています。多くのヨガスタジオがあり、手頃にヨガの実践をすることができます。


これは喜ばしいことではありますが、私からすると今現在ヨガとして知れ渡っているものは、膨大なヨガの体系の一部にすぎません。


アーサナという色々なポーズを取る、身体技法としてのヨガ、美容や健康にはヨガが一番、ということで広まっています。


ホットヨガも流行っていますが、私の見解ではホットヨガは違和感があり、暑い中でアーサナを行い、汗をかいてデトックスやダイエット効果があるとされています。


私が学んだり行なってきたヨガは、呼吸法これはプラーナーヤーマと言いますが、それと瞑想がメインでした。


ですからアーサナが中心の美容や健康にヨガ、というのは私の中ではどうもしっくり来ません。


そのような美容や健康にヨガというところから、本来のヨガの原点に関心を持って学んだり、実践をする人が少しでも出てくればいいなと思っています。


私においてヨガは、先ほども言った呼吸法や瞑想以外にもムドラーというものがあり、呼吸法のもう少し激しいもの、力強いものですが、それをかなり重点的にやっていた時期もありました。


10年以上前のことになりますが、本格的なインドに伝わるヨガ、瞑想などが中心の解脱、悟りを目指すためのヨガを、インド人のヨギから直接教わったことがありました。


それは本当に短い期間でしたが、そこではアーサナをほんの少しだけやって、そもそもアーサナは呼吸法や瞑想があまり苦痛なくできるように行う準備運動、準備体操のようなものでして、そのようなヨガの一部が、「これがヨガだ」として広まっているのが現状ですが、そこではアーサナを少しだけ行い、それからプラーナーヤーマ、ムドラーを長くやってから静かに瞑想しました。


そこでのヨガは非常に効果があり、ただ静かに座って瞑想するだけよりも、まず体を整え、呼吸を整え、エネルギーを高めてから静かに瞑想しましたが、このようなヨガのシステムはよくできているなと改めて感じました。


そしてムドラーを行う際に、クンバカといってできるだけ長く息を止めることをしますが、それとバンダといって喉と肛門を締めて、お腹をグッと引き上げる、これをやると非常にエネルギーが高まり強まります。


今流行りのアーサナ中心のヨガに私も行ったことがありますが、あるスタジオで息を止めないでくださいと言われまして、これは身体技法としては理に叶っていまして、呼吸を止めると酸素不足になって体によくないのはわかりますが、瞑想中心の本格的なヨガにおいては息を止めるクンバカが重要なものとしてあります。


このクンバカをすることで、心も静まってきます。呼吸と意識は密接な関係があると言われており、これはやってみればわかりますが、息を止めていると苦しくて心が波だったりもしますが、苦しくなる前は心が平安な状態となり、慣れてくると呼吸と意識の働きは密接な関連性があるのだとわかってきます。


呼吸が止まると、心の働きも止まってくるということですね。


ですから私はヨガスタジオで「息を止めないでください」と言われるのは違和感があります。


それはさておき、呼吸をずっと止めているのは身体が辛いわけですが、その際に指導をしてくれているインド人のヨーギーが、私達に何度も同じことを言っていました。


それは何かと言うと「watch And relax」ということを何度も強調し、私はそれが非常に印象に残りました。


それはヨガを実践している時はもちろん、その後の日常生活においてもそうでした。

まさしくこのウォッチアンドリラックスというのは真髄です。


まずwatchですが、ここでのwatchは当然時計ではなく動詞の観るですけれども、見るという単語が英語ではいくつもあります。


代表的なものはlookとseeとwatchですが、全て日本語に訳すと見るとなりますが、これは細かい意味合いで見ると違ってきます。


lookは瞬間的に見ることであり、じっくり見るというより一瞥する感じです。


seeは目に入る感じです。lookもseeもじっくり見るというよりも、パッと見る目に入るという意味合いがあると思います。


それに対してwatchはじっくりと観る。ちょっと調べてみるとwatchは動いているものをじっと観る、見据えるという意味合いがあるそうです。


これはヨガの実践において、watchという言葉、よく見据えるというのは、改めて深い言葉だなと感じます。


ムドラーのような激しいヨガの実践をしていると、色々と心が波立ちます。「ああ苦しいな」とかですが、そのように色々と波立つ心の働きをじっと観る、見据えていく、watchする、これが非常に大切なことです。


ですから呼吸の実践をしていながらも瞑想をしていたことになります。


クンバカという息を止める実践をしながら、watchと言われて「ああ、心の波を見据えるんだ」とやっていました。それが後々私の瞑想や精神的な探究に、とても役立っています。


そしてwatchというのは観察するという意味もあるとのことで、この観察するというのは仏教の瞑想でヴィパッサナーになりますね。観察する瞑想です。


ヨガの瞑想ではあまりヴィパッサナー、観察するということは言われないような気がしますが、そのインド人のヨーギーは何度もwatchということを繰り返しており、ヨガも仏教も同じではないかとその時に思いました。


表現の仕方は違うかもしれませんが、根底では同じではないかとその時に感じ、今もその思いは変わりません。


そしてrelaxですが、クンバカをしていると、どうしても体が緊張します。その状況でもリラックスするということで、できるだけ緩める、リラックスするということです。


このリラックスも非常に重要で、やはり体が緊張していると、意識もどんどん緊張して凝り固まってきます。


リラックスすることでまず体が緩み意識もそれに伴い緩んでいきます。そして凝り固まっていたものも解放され広がっていきます。そして本来の在り方となっていきます。


緊張している状態は、心身において不自然です。リラックスすることで、本来の在り方となっていくのです。


このようにウオッチ&リラックスというのがいかに重要であるかというのが、その時にも漠然と感じていましたが、今では非常に強く実感しております。


瞑想してただボケーとするのではなく、しっかりと観ること。これは激しいヨガの実践をしていると、段々ボーッとして余計なことを考えられなくなってきますが、それは雑念に巻き込まれている、想念に埋没しているよりは良いですが、そこで終わってはいけません。


その状態でもしっかりとウォッチして心身を観察し、リラックスする緩んで本来のあるがままの状態で在ること、これが本来のヨガが目指すところではないかと思います。


インド人のヨーギーから学んだ期間は短いものでしたが、とても大きな恩恵、恩寵を受け取りました。


皆さんにもウォッチ&リラックスをシェアして、瞑想や普段の生活に活かして頂ければと思います。