プロローグ0618
2017.06.17 23:16
クロネコのクロは全身が真っ黒のオスネコ。とても鮮やかな青い目をしている。
街にある、ボクがよく行くガラス細工屋のおじさんが、クロネコのクロの青い目を見て、「この目は南太平洋の海の色だな」と言っていた。
ボクは行ったことがないから、南太平洋の海がどんな色なのかは知らない。きっとこんな色なのかなと思いながら、いつもクロネコのクロの青い目を見ていた。
それでもやっぱり南太平洋の海の色が分からないから、ガラス細工屋のおじさんにもう一度聞いてみたことがあった。すると、さらにこんな感じで言われた。
秋の晴れた日の夕方、太陽が沈んで、空に赤みがなくなって、西の方に金星がはっきり見えるくらいの青み掛かって、ちょうど夜が始まった頃合いの空の色だって。
秋の空は何回も見たことがあるから今度はなんとなくだけれど分かった気がした。確かにそんな色だとは思う。春も似たような色だと思うけれど、それはガラス細工屋のおじさんには言わないことにした。
ちょっと長い言い回しだから小説の表現には使えない。なんかまどろっこしい。それをヒトの言葉でクロネコのクロに「どう」と問いかけてみた。だけれどその時はピクリとも反応しなかった。クロネコのクロにとってはどうでもいい話だったみたいだ。