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ペットの安楽死をどう捉えるか。

2017.06.19 16:53

先日、Yahooニュースを見ているときにこんな記事を読んで考えさせられた問題です。

犬の医療は治療法についてもかなり発達していますが、介護面でも人間に近い問題点を抱えているんですね。


わたしも今年10歳になる犬を飼っているので人ごとではありません。もし、飼い犬が痴呆症になったら最期まで自宅での面倒を看ることができるか、自問自答した結果、ひとつの疑問が浮かび上がりました。


これは人それぞれの考え方で、とてもデリケートな問題なのですが、住み慣れた家を離れて老犬ホームに預けられた犬は幸せなんでしょうか?


日本はペットショップでの生体販売がまかり通り、自治体による「処分」も未だ行われているため「ペット後進国」と呼ばれています。寿命を到底全うしたとは思えない犬猫達がガス室で苦しみながら逝かされる一方で、痴呆症になった犬のための老犬ホームがあったり、延命効果しかない高価な治療を施されるペット達もいて、なんだか矛盾しているような気がして仕方ありません。これは老犬ホームや延命治療の批判ではなく、そこまでペットに手をかけられる国が、ある片方で簡単にペットの命を売り捌き、奪うという行為を許していることに不思議な気持ちを持ってしまうんですね。


日本の老犬ホームについては、「ペット先進国」と言われる欧米人達も意見を述べているようです。

彼らのコメントは、老犬ホームに賛同し、または感動して賞賛するものと批判的な目でみるものと、まったく二分しています。


実は「ペット先進国」といわれる欧米諸国ですが、安楽死については日本人と違ってタブーを感じる人が少ないといわれています。


事実、犬の平均寿命は世界一のペット先進国ドイツより日本のほうが長いというデータもあり、これは治らない病や認知症を患った犬を安楽死させるかさせないか、対処法の違いが如実に現れているのです。


ペット先進国ドイツでは、行政はペットを処分しません。飼いきれなくなった飼い主はシェルターと呼ばれる保護施設にペットを預け、彼らは里親に引き取られていきます。そういうシステムが確立していることもあって、ドイツのペットショップでは生体を販売していません。新しくペットを飼いたい人はシェルターか、ブリーダーを訪れて選ぶのです。


このあたりが、簡単に生体販売をしている日本と違うところですが、行政が手を下さない代わりに「ペットの命は飼い主のもの」という考え方が根強いため、飼い主の希望によって安楽死させるケースは日本よりも相当多いんです。


これはペットに対する価値観だけでなく、日本人と欧米人の死生観の違いが浮き彫りになっているのではないかと言われています。


仏教を中心とした日本人の死に対するイメージは忌むべきもの、と刷り込まれていますが、クリスチャンの多い欧米人にとって死は救いでもあり、また復活までの期間でもあるため忌むべきものではないんですね。  


そのため、宗派にもよりますが骸骨で飾り付けた教会が存在したり、地下墓地(カタコンベ)が観光地化されていたりと日本人には信じられない光景を欧州などで目の当たりにさせられることとあります。  


また、キリスト教では「ペットは人間が作り出したもの」と位置づけられており、その命は飼い主の自由に判断が任されるという考え方が浸透しています。

 

欧米人は日本人と異なり、ペットの安楽死を許容する人が多く見られるのですが、これはなにも「介護や治療が面倒臭いしお金がかかる」という愛情の欠如からなるものではなく、むしろ「死は忌むべきものではなく救いをもたらすもの、いたずらに現世で余生を過ごすより楽に逝って欲しい」という愛情からくる考え方に基づいているんですね。


わたしは安楽死に賛成することも出来ませんが、自分がどういう考え方を持って、時が来たときどのように対処するか突き詰めて考えてみると日本型の「自然の死を迎えるまで待つ」より、「自分の手で(安楽死を選択し)楽にさせてやりたい」という欧米型の対応を希望するのではないかと思います。


その判断基準は要介護状態や健康状態よりも、「彼らが自然な環境で生きていけない状態かどうか」を重要視するでしょう。

動く元気があるときはもちろん、治療でも介護でも延命でもやります。


食べる気力があるうちは、やっぱり死なせられない。でも、本当に食べられない、寝たきりになってしまう、そんな自然界で生きていけない状態だったら決断をするような気がします。


認知症の場合は、身体が健康なうちは一緒にたくさん遊ぼうと思うし、出来る限り一緒にいたいから老犬ホームを利用するかどうかは分からないけど、このサービスは日本人らしい、とても優しいものだからどんどん増えていって欲しいと思います。わたしも老犬ホームで働きたいなぁ、なんて考えたし。


一方で、とにかく、こんな素敵なサービスを提供できる国なんだから、新しい命を守って簡単に増やさない、売らない、処分しない、そんなペット先進国に早くなって欲しいと切実に願うのです。