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もし災害が起きたら… ~ ペットの避難生活 ~

2022.04.25 03:00

全国各地で地震が発生し、避難を余儀なくされるケースが多々ありました。今後も大規模な地震が起きると予測されている中、いざという時、ペットと一緒に、どのように避難すべきか、日頃からの備えが必要となってきます。

「もしも」に備えて、家族であるペットの避難所での実態、トラブルの事例、日頃からできる対策をご紹介します。


ペットの避難生活、その実態は?

一口に避難生活といっても数日程度の短いものから、仮設住宅入居を含む長期のものまであり、その実態を一括りにすることはできませんが、過去に起きた災害からペットの避難生活を振り返ってみましょう。

過去の事例を見てみると、被災したペットの同伴避難に関しては、避難所によってルールが異なりました。受け入れ自体を不可とする場所や、可能であっても廊下や外で過ごす方や学校の校庭でテントを張って愛犬と過ごす方、車の中でペットと共に生活をする方もいたといいます。

また、ペット飼育者とそうではない方をフロアで分けたり、部屋を分けたりといった工夫を自主的に行っていたところもあったようですが、ペットとの同行避難についてのガイドラインの未整備や、ペットに対する社会的な理解についてさまざまな問題点が露呈した結果となったようです。愛犬と過ごすために車の中で寝泊りをしていた女性が、エコノミークラス症候群と見られる症状で命を落とすということもありました。

しかし、各地域の獣医師会やNPO団体、ボランティアによってさまざまな救援策が講じられたのも事実です。避難所の外(校庭や駐車場)に、ペット専用の預かり施設を設けたり、獣医師による健康相談や診察が行われるなどのさまざまな活動が行われ、ペットに関わるあらゆる団体や協会、企業からペットフードやトイレシーツなどの物資支援も行われました。


避難所でのトラブルは?

避難所側が、早い時点からペット連れとそうでない被災者の住み分けを実施するなどの取り組みをしていた例や、ペットに対する理解を深める啓蒙活動などの取り組みを行っていた例では苦情が起こりにくかったことが報告されています。少数ではありますが動物が得意でない方とのトラブルや、ペットのしつけ問題が深刻化し、避難所から退去せざるを得なかった例もあったようです。

動物の好き・嫌いに関わらず、災害に遭われた方々は非常に大きな不安とストレスを抱えています。そして、もちろんペットたちも大きなストレスを抱えることになります。そんな中だからこそ、トラブルを回避し、ペットを受け入れてもらえるためにも日頃からの基本的なしつけが重要となってくるのです。


ペットの防災対策

さて、過去の災害における避難生活の実態を見てきましたが、これらを受けて自治体レベルで「ペット同行避難対策」はどのように改善されたのでしょうか?

東京都では阪神淡路大震災を受けて、「東京都地域防災計画震災編」の中で動物愛護の項目を設け、ペットとの同行避難を前提にし、避難所において獣医師会・区市町村との協力して適正な動物の飼育や保護をする方針を定めました。また、徳島県のように防災計画の中で、動物救援本部の設置や餌の配布、負傷動物の収容、治療の実施、仮設救援センターの設置などを具体的に明記している自治体もあります。

神奈川県の厚木市は、ぼうさいの丘公園(厚木市温水)をペット一時避難場所と位置づけ、ゲージとペットフードの備蓄(犬・猫約2,000食分)や駐車場を利用した係留設備40頭分、さらに汚水処理槽の設置をしています。最近では、ペット同行の避難訓練なども各地で行われるようになりました。

認定NPO法人 日本レスキュー協会は引き続き、同伴避難を可能とできるように飼い主に対してもペットのしつけや清潔に保てるように啓発しているそうです。

また、過去に環境省は各地方自治体に対してペットに関する災害情報の共有と、連携して対応を要請・各地方動物愛護管理部局に対して仮設住宅へのペットの受入れ配慮について事務連絡を発出しています。

しかし、これらの対応は自治体によって異なっているのが事実です。飼い主の皆さんは、自分の住む自治体の防災計画をホームページなどでしっかりと確認し、また不明な点は問い合わせてクリアにしておく必要があります。気が動転してしまう災害時、これらを知っているのと知らないのでは大きな差がでてくるので事前に対策を考えておきましょう。


私たちができる対策

自治体としての取り組みが充分に進んでいくことが、飼い主さんの共通の願いだと思います。しかし、自治体の対応だけではなく、飼い主として責任を持って災害後もペットと暮らすために何が必要なのかを考え、対策しておくことも重要です。

たとえば、避難所で周りの方に迷惑をかけないために、ケージトレーニングなどのしつけが必要となってきます。具体的には、救援物資が届くまでの最低3日分のペットフードの準備が必要です。また、いざというときにペットを預かってくれる家族やお友達との事前の話し合いなど、日頃のご近所付き合いを友好にし、避難所で受け入れてもらいやすい関係を作っておくことも大切です。お住まいの地域の防災計画を確認し、それに応じて個人として用意しておかなければならないことを考えておくなど、できることはたくさんあります。


まとめ

避難所生活は大きなストレスを伴うことは間違いありません。しかし、そんな苦しい毎日を救ってくれるのは、もしかしたら愛するペットの存在なのかもしれません。そんな大切な存在のペットを災害から守るためにも飼い主としての責任を持った対策をとっていきましょう。