動き出す憲法改正 準備不足の野党に議論が可能なのだろうか
大混乱の通常国会が閉幕し、日本政治は新たな局面を迎える。安倍首相念願の憲法改正に向けて、早速首相は先手を打ってきたのだ。しかし危惧されるのは現状の野党が、憲法改正に関わる議論を真っ向からできるのかという点である。今後の憲法改正議論に注目が集まる。
まともな政治的議論を期待させる憲法改正
「来るべき臨時国会を前に、自民党の案を提出したい」
安倍首相が講演で述べた言葉である。森友学園や加計学園の問題で混乱した国会が終わり、安倍首相はすぐさま次の一手を打ってきた。巷の噂では連日に渡る政権権力者による疑惑と、元文科事務次官にいる天下の裏切りにより、政治への信頼を失った国民の目を紛らわすための戦法なのではないか、と囁かれているが、憲法改正の議論はそんなに容易いものではない。
今年は日本国憲法施行から70年の節目の年である。このタイミングで新たな日本の形を作り上げるという安倍首相の強い意志が垣間見える。読売新聞は「首相は憲法改正の議論を前倒しすることで与野党の憲法改正議論を促したい考え」(6月25日朝刊)と論評しており、当初は来年の国会会期末に発議をすると見られていたのが、大幅に前倒しになったことで議論を活発化させたいということだ。
現代社会に合った憲法を作り上げることは国家として、また国民の生活を守るうえで必要不可欠なことである。この国際社会の混乱と変化を見渡せば、新たな法整備やそれに沿った憲法改正は絶対に必要である。日本以外のあらゆる国々は憲法を次々に改正しているし、それは国際社会に適応するため、行動を起こしているだけのことだ。
不戦は当たり前 しかし野党に議論する力があるのか
日本を諸外国と同じように論じるつもりは毛頭ない。野党や急進左派が主張するように憲法9条の不戦の誓いは世界に誇れるものであろう。しかしそれが足かせとなって国民の命を守れないようであれば本末転倒である。中国や北朝鮮の軍事的挑発を目の当たりにしているにも関わらず、国民を守る防衛措置を実施することに猛反対する一部野党と急進左派、反体制派を見て外国人は「日本は正気なのか?」と思っているのが実情である。
これらは全て平和ボケの末路なのだろう。日本が自国で国防をしようとしない原因は「日本が戦後の呪縛から解き放たれるには」(JIW 6月17日付け記事)にて論じているが、あまりにも平和すぎて北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の尖閣侵略を「どうせ大丈夫だろう」と思い込んでいるのが、大多数の日本人の現状だ。「戦争にチャンスを与えよ」の著者、エドワード・ルトワック氏はこの「どうせ大丈夫だろう」という思い込みが国家を滅ぼす最大の要因であると指摘している。
通常であれば政府・与党の国防への対処であるとか外交政策に問題が生じて、それを野党が追及する。それが健全な国会の形であるし、国民のための議論である。では現状の野党はどうだろうか。政府は国民をあらゆる脅威から守ろうと必至である。今までできなかったあらゆる政策を実行している。それを阻止しようとしているのが野党である。一体に何のための誰のための政治なのだろうか?本当に日本国民のための政治なのだろうか?
結論、今の野党に憲法改正について安倍首相と正面から対峙することができる能力は無い。安倍首相は議論のない、中身の無い国会議論にあきれ果てたので、あえて憲法改正議論を前倒しすることで政治の議論を元に戻そうと必死なのである。どちらが国民のために働いているのか我々はよく見極めなければならない。
JAPAN IN THE WORLD編集長
Mitsuteru.O