「せかいいちおいしいスープ」マーシャ・ブラウン
先日お客様からお譲り頂いた本の中にマーシャ・ブラウンの「せかい1おいしいスープ」というタイトルの絵本がありました。
マーシャ・ブラウンが好きな方はすぐに気付かれたかもしれませんが、この絵本は現行版は「せかいいちおいしいスープ」というタイトルで出されているんですね。
以前の旧版はペンギン社の渡辺茂男さん訳、現在のものは岩波書店で小宮由さん訳です。判型も少しだけ異なっていて、以前の版のもののほうがほんの少しだけ大きいですね。
こうした少しの違い、訳違いで出ている2冊の本などに何故か惹かれてしまうことは、本好きの方にはわかって頂けるのではないでしょうか。2冊並べて持っていたくなってしまいます。
さて、この絵本のお話ですが、これはフランスの昔話をもとにしたお話だそうです。
お腹を空かせた三人の兵隊が、ある村に立ち寄ります。
しかし村人たちは彼らに食料をわけてやろうとはせず、晩の寝床も貸そうとはしませんでした。三人の兵隊は相談をして、それならば石のスープを作ろうと、村人たちに提案をするのです…。
兵隊たちが知恵を絞って美味しい晩御飯を頂くお話なのですが、その頂く方法、そのシンプルなのだけれどちょっとした仕掛けで人を騙すこと。こういう頭を使うことって子どもはすごく好きですよね。
(兵隊たちは石のスープを作ると言って、実際に作りながら、このままでも美味しいのだが、もっと石のスープを美味しくするためにはあれが必要これが必要と、にんじんやキャベツ、牛肉にじゃがいもと、村の人達に持ってこさせるのですね)
2冊の訳の違いはそこまで感じられませんが、小宮さんの訳のほうがほんの少しだけ説明的な文章が多く、その世界観に入りやすくなっているかもしれません。渡辺さんの訳のほうがその物語の世界をそのまま差し出している感じがしますね。
旧版では短いですが、渡辺さんのあとがきが読めるのも嬉しいです。
作品ごとに最適な表現方法を考え出し、異なる作風の作品を常に見せてくれるマーシャ・ブラウンはこの絵本でも、他の彼女の作品とはまた違った雰囲気を味あわせてくれています。
オンラインストアでは、本日マーシャ・ブラウンの絵本を幾つか更新しましたので、他の絵本もあわせて見て頂けると色々と違いが分かるかと思います。是非ご覧ください。
当店在庫はこちらです
「せかいいちおいしいスープ」小宮由 訳
「せかい1おいしいスープ」渡辺茂男 訳