今日見に行くべき映画!命の重みを考える「ハクソー・リッジ」
はじめに…
僕は飛行機の中でこの映画を見たんですが、隣の席の人に心配されるくらい涙と鼻水が出ていたようです(笑)。
それくらい心を動かされ、考えさせられた映画です。
単純な感動物語ではありません。
実話に基づいており、重いです。
見終わった後に見たのを後悔するくらいテンションが下がりました(笑)。
でも、見る価値、考える価値のある映画だと確信をもってお勧めできます!
1 作品情報
1.1 タイトル
タイトルにもある、ハクソー・リッジ(Hacksaw Ridge)は、沖縄にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地の北側が急な崖になっている地点のことを指し、沖縄戦における日米両軍の激戦地となった場所のことです。写真は実際の場所と米軍衛生兵のドスです。(wikiより)
1.2 監督・出演
監督:メル・ギブソン:彼は俳優としての方が名を知られており、有名な作品にはマッドマックスがあります。監督としては、ドラマシリーズ「ブレイブハート」で名が知られています。
主演:アンドリュー・ガーフィールド:彼が有名なのは「ソーシャルネットワーク」と「アメイジング・スパイダーマン」ではないでしょうか。特に、エマ・ストーンとの交際ネタで名前をちらほら聞きます。
2 あらすじ
ネタバレしない程度にサクッといきましょう!
予告編を見てもらった方はご存知だと思いますが、この映画は一言で言うと、
「米国史上初めて銃を持たずに戦場に立つことを許された一人の兵士の生き様」
を描いています。
映画の流れとしては、二つのパートに大別できます。
一つは、戦場に立つまでの過程。そもそも銃を持たないで戦争に行くなんてアホな事を政府が許すわけないんです。銃を持たないこと、人を殺さないことを信念として掲げるドス衛生兵ですが、臆病者のレッテルを張られ、軍では執拗なイジメを受け、ついには憲法違反として牢獄に入れられてしまいます。それでも自分の信念を曲げないドスは色々あって(ここは根幹なので割愛(笑))戦場に立つことを許されます。さらに、ここまでドスが人を殺さないことに拘る理由も注目のポイントです。特に、キリスト教的信条が鍵となってきます。
二つ目が、実際の戦場シーンです。これはもう、見てもらうしかないです。今でもトラウマになっているレベルの迫力を持った戦場シーンは、筆舌に尽くしがたいので、是非ご覧になってください。ヒシヒシと伝わる緊張感と戦争の無情さは、今でも鮮明に覚えています。
3 感想
個人的に注目したいポイントは三つあります!
3.1 アメリカから描く沖縄戦という視点
戦場のシーンで初めて気が付きました。この映画はアメリカ側の視点から描かれているのだと(バイアスがあるとかではありません)。純粋に、敵兵として日本兵が出てきたとき、日本語で喋っている言葉が英語字幕で表記されたとき、当時の日本軍の狂気が強調して描かれていたとき、などなど節々でアメリカ人の視点でこの映画を垣間見ることができました。
修学旅行などを通じて沖縄戦の過酷さや壮絶さ、その後の立場などを日本側から学んで来たし、日本は敗戦国だという事実は当時のアメリカ軍の絶対的優越を覚えさせていました。もちろん軍事的な側面や歴史的事実は知らないのですが、この映画を通じて、日本軍に恐怖を覚えたのも事実です。米軍にとっても日本軍にとっても、お互いが恐怖であり、狂気であったことを認識させられました。
3.2 国際政治的観点からのドス
国際政治的な視点からすると、軍事力を持たずに戦争に行くということは、考えられません。理解不能です。美談でも何でもありません。結果的にドスが生き残ったから良かったものの、死んでしまったら笑いものです。人を殺す勇気、自分の国を守る勇気が無いただの臆病者、という存在で終わってしまっていたと思います。
ただ、実際に生き残ってしまったのです。何万という命が失われていく中で、彼は武器を持たずに生き残り、衛生兵として75もの命を救ってしまったのです。結果論でしかないけれども、その事実がある。だからこそ、映画になり、後世に語り継がれる物語なのでしょう。
ただ!!将来戦争に行く未来があったとしても、自分はこういった兵士が出ることを望みません。なぜなら歴史上極めて稀な存在であり、生き残ることさえ奇跡なのであったから。これが、軍事力に基づく自主防衛を根幹とした国際政治的な考えです。
3.3 「Please, help me get one more」
この映画の全てを表しているかもしれないのが、この言葉です。自分が一番考えさせられたのも、この言葉です。
核兵器一つで、何万人もの命が消し飛ぶ時代に、助かるかどうかすら分からない死にかけの兵士を、自分の命を危険にさらしてまで助ける。そして、それをもう一度、もう一度、もう一度と、75回繰り返す。
いくら宗教心に支えられていたとしても、本当に人はそこで動けるのかと疑う一方で、何万という命を一瞬で消す時代に、ある種の諦めを感じる自分に対する情けなさもあります。
戦場の中で異常とも言える行動を貫いたドスの言葉は、今も自分の中に強く残っています。
4 終わりに
人それぞれ色々考えるところはあると思います。歴史的正確性や政治的立場によるバイアスなどなど。それは一旦さておいて、この映画を見て、何かを感じて、各々が命について、戦争について考える、このプロセスを辿ることができれば、この映画は大きな役割を果たしたのではないでしょうか。終結から72年を迎えた先日に日本で公開されたこの映画、是非ご覧になって梅雨のくらーーーい気分をさらに暗くしてみましょう(笑)。
予告編はこちら。
ご精読有り難うございます!