2021年9月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック
河越 彰彦
全般的に低調
天候もあまり良くなかったうえに流星数もすくなかった。観測可能な時期と位置を考慮して選定した57個群(別表参照)のうち確実な活動は僅か1個で、弱い活動の流星群は14個であった。
いつもの年ならば№219や216の、うお座δ流星群や№206のペルセウスε流星群が目立つ活動するのだが今年は低調だった。
表1のように観測量も少ない。その結果表2に示したように確認できたIAUリストの流星群も少ない。第2級に至っては8割が未確認である。
確実な流星群
9月は観測中に存在に気づいたIAU№416について触れておきたい(表3、図1参照)。
以前にも書いたが流星群の検出には位置の確からしさと、存在の確からしさがある。カメラの位置精度には到底敵わない人間も、存在の確からしさは感じる。それは人間だけの特別な資質である。この流星群も観測中に存在が感じとれたそうだ(斉藤談)。
9月6日の夜は翌7日01時30分に観測開始。同44分に3等級・中速の流星が三角座に出た。続いて57分に2等中速流星が5度北のアンドロメダ座に出た。観測者はこの瞬間にこの2個の流星の飛来方向の先に流星群の放射点の存在を感じとっている。さらに02時36分に2等級・中速流星が10度西に出現した。3個とも互いになす角度が鋭角なので飛来方向に幾らかの誤差をもってしまう。4個目を待ったが現れず04時30分に薄明のため観測を終えた。
しかし同時に観測していた筆者は独立的に02時05分に三角座からうお座に飛んだ2等中速流星を捉えている。この筆者の記録した流星は表3の放射点のすぐ北の赤経35°赤緯60°を貫いている。観測中は独立性を担保するためにお互い話をしないことを考えると、この付近に流星群が活動していたことが覗える。IAU№416は9月カシオペヤι流星群で9月10日前後に活動すると記されている。因みに筆者も04時半まで観測したが、これだけであった。直ちに9月カシオペヤι流星群だと断定はできないが興味ある検出事例ではなかろうか。
図1 9月カシオペヤι流星群の検出
以下の流星群名称は和名命名ルールに基づいた名称で統一した。