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鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

2021年10月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック

2021.12.10 03:41

河越 彰彦

定番のオリオン、おうし座流星群は確実な活動

 流星観測は視野が開けた条件で実施して意味をもつ。だから全天雲量が5以上になると観測できない。天気予報で曇り時々晴れの夜は残念ながらあきらめることが多い。いい夜を狙って年間どれだけの観測が可能なのかという問題は、気象と根性次第だと思われる。特に標記のようなテーマだとある程度まとまった量の観測が必要になる。少なくとも15000分は必要ではなかろうか(表3参照)。そんな下で今月は表1のような流星観測を実施できた。

 例によって赤緯55度より南にあるもの、朝夕の薄明時のもの、満月時期のもの等を除外した71個の流星群を対象にして、表2の結果を得た。

 オリオン群の極大期は満月の影響もあって観測できなかったものの、活動初期と末期活動は確実にキャッチできた。別表に示すように30日未明まで見られるのは珍しい。

 一方の、おうし群は別表IAU№2,と17の通り南北2系統あって今月は北群が活発だった。

 ところがIAU№28や25の、10月おひつじ座δ流星群はおうし群と区別が難しく眼視観測では確認できない。また、IAU№9の10月りゅう群(いわゆるジャコビニ群)は一部地方で見られたようたが、筆者は確認できかなった。

第2級の2割強は弱い活動

 どんなに条件のよい月でも第2級の流星群の確認達成率は20パーセント台である。逆説的には70パーセント以上のものは確認できないことを表している。その理由も以前触れた。

 そういう観点で判断すると、実在の流星群は多くて200個程度と推定される。

 盲目的にIAU(国際天文学連合)の発表に従っていると幻の流星群を捜し求めて骨折り損をしてしまう危険性がある。そんな事情もあってこのチェックを実施している。

 表4の検出流星群もそんな意味であくまで存在の可能性を報じたものである。

流星群の定義は実はあやふや

 図1は流星群の様子をイメージで表したものである。いろいろなサイズの粒(流星物質)が濃密に分布している状態を流星群という。図の右にいくほど密度は希薄になる。この状態を散在流星という。問題はその中間の領域である。縦の破線は筆者が入れた境界線だが、研究者によってこの位置は様々である。もっと右側に境界線を主張する人もいる。それがIAUの流星部門の人々であると聞く。しかし彼らの主張にどんな科学的な根拠あるのか筆者は知らない。多分「個人的見解」ではなかろうか?さらに問題なのはそれを議論する仕組みも不鮮明で、別表にある流星群リストの改廃規定もない。この体制が国際天文学連合という名称にふさわしいかどうか疑問に思われる。


 以下の流星群名称は和名命名ルールに基づいた名称で統一した。