英語、あまりの速さに驚愕した日
さて、これは私が英語のスピード感に驚いた日の話です。
小学6年生の時、有名な通信教育講座をしていた。(○○ゼミ、というような)
入会時の付録に釣られて入ったのだが、、毎月送られてくる4教科(算国理社)の教材は楽しかった。
夏休みだったか、その通信講座で「中学英語準備講座」という特集が始まった。簡単な英会話のテキストと、テキストに合わせた音源が送られてきて、もう最高にうれしかったのを覚えている。
なぜなら、数年前あれほど憧れた「英語」を勉強できる教材が目の前にあるのだから、ワクワクせずにいられようか。
私はテキストを開いた。そこには簡単な日常会話が様々なシチュエーションで描かれている。メインキャラクターが英語を読み上げた後に日本語で解説が語られたり、英語のちょっとした豆知識が記されたり、コンテンツは盛沢山のようだ。
早速手持ちのミニプレーヤーで音源を再生してみる。軽快な音楽と共に「Hello, everbody! Let's start English lesson.」…というような音声が流れ、レッスンが始まった。わ、楽しい!…と思ったのだけど、ひとつだけ「英語ってめちゃめちゃ難しいやん…」と私が困ることがあった。
スピードだ。会話があり得ないほど速い。それはもう、恐るべき速さなのだ。いわゆる英会話のレッスンでよくあるように、「Repeat after me.(繰り返してください)」がセリフごとにあるのだが、リピート出来ないほど速い。しかも、こちらが悪戦苦闘してリピートしているのに言い終わらないうちに次の会話が始まる。ちょっと、待ってよ!
「Let's play tennis after school!」「れ、れっつぷれい、てに」「OK, that's a great idea!」「おーけい、ダッツ」「See you then!」「しーゆ」「Bye!」「ばい(よし、これは言えた)!」…。
一応、会話の合間にポーズはあるのだけど、私がどんなに急いでも即、次のセリフが被さってくる。
果たしてアメリカ人はいつもこんなに早く話しているのだろうか…。と考えたものである。う~ん、こんな基礎的なセリフの真似をして繰り替えすことすらままならない私が、英語を話せるようになるなんて不可能なのでは…としばし不安になったのであった。
とは言え、教材自体は面白かったのであまり深く考えずに楽しんだ。テキストはボロボロになるまで読んだ。
数カ月が経った。もうすぐ中学入学と言う頃、久しぶりに「中学準備英語講座」の教材を取り出したくなった。速さのあまりちょっとご無沙汰だった音源を改めて聞いてみようと思ったのだ。
プレーヤーに入れて再生を押す。「Hello, everybody! Let's start English lesson.」が流れた。私は腰を抜かすほど驚いた。音源の速さが、ゆっくりだったから!!!
ゆっくり、というとちょっと違うかもしれないけど、流れる英語のすべてがノーマルな速さで、ちゃんとした会話として耳に届いて来たのだ。おかしい。そういえばキャラクターの声も違う。これはいったい、どういうことだ、なんて奇怪な…。
別の教材とすり替えられたのかと疑うほど驚いた出来事だったが、この謎の答えは簡単だった。私のプレーヤーには再生速度を変えられるスイッチがついており、いつのまにか1.5倍速になっていたらしい。夏中それと知らずに1.5倍の速さの英語を聞いては、英語のスピードって速いな、何とか聞き取らねば、リピートせねばと苦戦していたのだった。倍速にして英語を聞くなんて、結構な上級者のトレーニング法だ。難しいはずだ。
今では、速度を早めて英語を聞き取る練習法は、結構有効だと、いち英語学習者として知っている。
人生で初めて英語の教材に触れた話でした。
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