marco 手組みホイールの振れ
ご来店のお客様からホイールが振れてるみたいなんだけど見てくださいとときどき言われます。
そんなときは、外でホイール回して見てブレーキシューとの隙間なんかで判断したりします。
まー大丈夫じゃないですかなんてその場で言ったりしてます。お客さまからしたらこの人何を判断基準に
して大丈夫だなんて言ってるんだろうとちょっと不安になることもあるんじゃないかとも思います。
今までいっぱいホイールを組まさせていただいてるし、自転車のホイールには安全基準がちゃんとあって
たとえば BAA なんかだと縦、横の振れそれぞれ 1.5mm 以内とか JKA だと競輪等の競技車は
1.0mm 以下にしなさいとか決まってます。
最も厳しいレーシング車(ロードレーサー、TTバイク) EN14781 の規格で縦、横の振れが 0.5mmを
超えてはいけないってことになってて、ちなみに SBAA のスポーツ用自転車安全基準だと 0.8mmを
超えちゃいけないことになってます。
そんな寸法を頭にいれながら、スポーク握ってみて部分的にテンションがバラけてないか短時間でも
ちゃんと見てます。
もちろん振れ取りが必要なときはしっかり調整させていただきますのでご安心ください。
ホイールの場合はスポークテンションが均一で、できるだけ縦も横も振れてないのが理想なんですが
この3点をバランスよく組み立てるのがやっぱり数を経験しないとなかなか難しくて、一般の方が
ホイール組まで踏み込めない理由なんじゃないでしょうかね。
古くからの自転車組み立てのプロの先輩方は、指先の感覚だけでこの3点をバランスよく組み立てて
しまいますけど、私のようなまだまだ駆け出しの身としては、ここは計測器に頼らなければならない部分
です、けど数値で現れるんで逆に説得力があったりするのも事実です。
私は PARKTOOL の振れ取り台を
使っています
以前はこの専用のダイヤルゲージが
発売されてなかったので自作して
取り付けてましたけど、今はちゃんと
付属品で縦用、横用ともに
販売されてます
ひと目盛が 0.01mm になります
10 は 0.1mm になります
当たり前かぁ
当店では、縦、横ともに 0.2mm 以下の
振れを基本に組み立てます
この動画のホイールは先日オーダーいただいたごく普通の marco 手組みクリンチャーホイールです
縦、横ともに 0.2mm 以下の振れに収まってます
比較のために入荷したままの状態のシマノの完組ホイールの振れを計ってみましょう
ちょっといやらしいですかね
SHIMANO ULTEGRA WH-6700 FRONT です
スポークテンションが多少ばらついてるので縦振れが若干多いようです
ただこの状態でも十分に基準内ですし、もちろん走行の影響するような振れではありません
マスプロとしてはかなりの組み立て品質だと思います
当店では再調整が必要な場合は調整後、お渡しさせていただいてます
組み立て精度がよいのが売りの EASTON のホイールはどうなんでしょうか
今、店頭在庫してるのが EA50 SL しかないのでこれで見てみましょう
ULTEGRA とほぼ同じな精度で組まれていますね
ジョイント部のカツンのところがちょっと気にはなりますが、いい品質で組まれてます
最後にもうひとつ、自分がひとつだけホイールを使うことになったらこれかなと思っているカンパの
SHAMAL も調べてみましょう
このホイールは、使ったことがあるかたならわかると思いますけどすごくバランスのいい性能を
もっててオールラウンドに使えるホイールだと思います
イタリア製ということもあって、振れなんか多少あったって走って性能がよければいいんだよーなんて
結果を期待していたんですけど、完組ホイールとしては高水準の組み立て精度でできてました
このホイールの場合は、リム剛性が高くて加工精度もでてるんで当然といえば当然なんですけど
さすがカンパ、やるべきことはちゃんとやってるぞと実感