呼吸のアイディア(腹部編②)

2017.07.03 14:30

それでは今日こそ!お腹まわりの筋肉にいきます。

前回&前々回の話もなんとなく念頭に置いて読んでみてください。


まず「腹筋を鍛える」って言われる時に指していると思われる筋肉からみてみます。


正しくは「腹直筋」という名前で、お腹が割れてシックスパックって呼ばれるのがこの筋肉です。

腹直筋は肋骨からスタート・恥骨で停止していて、表層から2番目にある筋肉です↓

結構長いですね!


最初に骨との関係から考えたいのですが、

肋骨から上体の一番下まで繋がって上体を前屈させる筋肉、かつ引っ張る力の強い筋肉なので

腹直筋を硬くすると、吸気時に上向きに動く肋骨の動きを妨げます。

そして表層に近い筋肉ということは持続力に欠けます。

例えばロングトーンの時や長時間の演奏の時に、最初から腹直筋に頑張ってもらうと、疲労してもたなくなってしまうんですね。

また、前回の腹腔内での内臓の動きから考えても

体幹を前屈させる方向は内臓が上がっていく動きを少し邪魔しそうだなーと思っています。

あと、腹腔の容積は変わらないため

腹直筋をかためていると内臓の動ける範囲が減って、ブレスをとる時に肺の容積が増やせません。


あっ…!なんか悪いことばっかり書いちゃいました…_(:3 」∠)_

腹直筋は骨盤底筋群と一緒に下腹の圧を上げる協力をしていて、また瞬間的に強い力を出せるので

最後の最後、もう一息頑張って息を吐き切りたい!って時に活躍してほしい筋肉!という風に考えて頂きたいです。


では、息を吐く時にそもそもぜひ働いていてほしいお腹の筋肉は何でしょう?

(吸う時は容積のことから、腹筋群はゆるまっている方が良さそうですね)。


腹筋で考えると、安定して長時間力を発揮してもらいたいのは「腹横筋」になります。


コルセットのようにお腹まわりをかこんでいる筋肉で、

起始:肋軟骨・背中側の筋膜・腸骨稜

停止:剣状突起(肋骨前側真ん中の下端)・白線(お腹の真ん中に縦にある)・恥骨

だそうです↓


上・後ろ・下から始まって、真ん中で停止しているんですね。

一番深いところにある腹筋で、この筋肉も上体の前屈に協力していますし

お腹の内側の圧を上げることで息を吐く助けをしています。


なんだ!腹直筋と変わんないじゃん!て感じですが

息を吐く時の主力は実は腹横筋で、この筋肉は体幹の動きを邪魔しないそうです。

更に、内臓のポジションを保ってくれたり、咳をする時に働いているのも腹横筋なので

腹を保てーー!とか腹で支えろーー!とかいうときに本当に作用していてほしいのは

腹直筋ではなくこの腹横筋なんですね。

(そもそも「お腹で支える」という言い方はいいことなのかな?という話も

今度書いてみようと思ってます)。


長時間頑張ってくれて、お腹の内圧をしっかりかけてくれて、しかも身体の他の動きも邪魔しないので

腹横筋に大活躍してほしいな!てなります(o^^o)

しかも私が頑張って力を入れなくても深層の筋肉は繊細に動き続けてくれるので

安定した発声や微妙なコントロールも

彼らに「頼んだよ!」ってしておくことで実現しやすくなると思います。


さて。

その腹横筋の活躍に際して、よし!じゃあこれから鍛えるぞ〜というのはあまり考えなくて大丈夫かなと思っています。

深層の筋肉で感覚がないので、「鍛えた感」や「使ってる感」を求めると表層の筋肉を固めてがちですし

普段の生活で充分使えているので

あとは頭と脊椎が繊細にバランスをとってくれて、腹横筋が働くので息を安定して長く使えるぞ とお願いする方向で^^


今日はここまで。

私自身、もっと掘り下げて動きについて勉強していきたいなー!と思いながら毎日書いています。