「The Emperor’s New Clothes」Virginia Lee Burton
「はだかの王様」はアンデルセンのお話の中でも特に有名なお話なので皆さんご存知かと思います。
こちらの「はだかの王様(The Emperor’s New Clothes)」は「ちいさいおうち」で知られるヴァージニア・リー・バートンの絵本です。
お話は省略させて頂きますが、こんなに有名なお話でも、バートンの手に掛かれば、全くバートンの絵本になってしまうのが凄いですね。
彼女の描く絵の特色はまずその絵から感じられる動き、そしてそこから生じているリズムにあると思うのですが、この絵本ではもう一つ、色彩もとても楽しく美しいものになっています。
これはきっと「はだかの王さま」と対比させるために、他の登場人物の服装をカラフルにしているのですね。
バートンのどの絵本でも見られるその絵の躍動感は一体どこから生まれるのか、そのひとつはやはりパターン/繰り返しだと感じられます。
この事は「ヴァージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』の作者の素顔」(バーバラ・エルマン著)でも語られていますが、バートンが地域の人々にデザインを教えていた頃(そんなことがあったんですね…!)、モチーフを円形や正方形、楕円形に並べ、純粋に、装飾的な要素としてモチーフを自由自在に操られるようになるまで練習させた、とありますが、これはバートンの作品でしばしば見られる方法ですね。
バートンの絵において、本来的に装飾的でないものが(例えばこの絵本では人々が)装飾として描かれている(ように見える)、このことがバートンの絵の豊かさの源泉のひとつなのではないかと感じています。
バートンの絵はデザイン的なのですが、そこには生命的な要素が深く刻まれているようにいつも感じるのです。
postした写真でも感じて頂けるでしょうか?
彼女の絵を見るといつも、不思議な豊かさを感じますね。
こちらの当店の在庫商品は原書版の80年代の刷(恐らくですが...)の布装で、印刷も良い本ですよ。
バートンと言えば、ちょうど今、東陽町のGallery A4で「ちいさいおうち展」も開催されているようですね。近々私も伺う予定でおります。楽しみです!
当店在庫はこちらです。
「The Emperor’s New Clothes」Virginia Lee Burton