バッラッコ美術館 Museo di scultura antica Giovanni Barracco
カンポ・デ・フィーオーリ広場近くに、あまり知られていない古代彫刻などを集めた美術館がある。小さいが、一つ一つの作品に希少価値のある珍しいものばかりで興味深い。現在は無料で入館できる。
バウッラーリ通りのファルネジーナ宮殿 Farnesina ai Baullari
バウッラーリ通りのファルネジーナ宮殿(小ファルネジーナ宮殿)Palazzetto Le Roy (Farnesina ai Baullari o Piccola Farnesina)は、1520年から1523年にかけて、ブルターニュの枢機卿トーマス・ル・ロワ(Thomas le Roy)の命で、アントニオ・ダ・サンガッロ(Antonio da Sangallo il Giovane1483-1546)が建設したという説もあるが、サンガッロの設計でジャン・ドゥ・シェネバート(Jean de Chenevières)建設の可能性のほうが高い。
1516年頃の、メディチ家出身のローマ教皇レオ10世やフランスの王との関係で百合デザインが多く使われているが、小ファルネジーナ宮殿とも呼ばれているのは、ミケランジェロが手がけていた建物に、ファルネジーナ家の紋章の百合のデザインが使われているため混乱し、この名が残った。
百合デザインのタイル床
1階廊下天井の壁画。天使がサソリを手に持っている。
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ジョバンニ・バラッコ男爵の古代彫刻コレクション
バラッコ美術館には、ジョバンニ・バラッコ男爵が集めた古代彫刻コレクションが展示。
1829年に、南イタリアのカラブリアで貴族の子供として生まれたジョバンニ・バラッコは政治家であったが、考古学分野にも深い関心があった。世界のコレクターが出品する市場に出向きエジプトや東洋の芸術作品、ギリシャ芸術など広範囲に渡る芸術的遺産を集めた。かつてコルソ通りに住んでいたバラッコの家は美術館の様になっていたが、1902年に、コレクションをローマ市に贈呈する替わりに、テヴェレ川の近くの家を手に入れた。
バウッラーリ通りのファルネジーナ宮殿にコレクションは移され、 1948年に現在のローマ市が運営する古代彫刻の美術館となった。展示品は多くはないが、バラッコのセンスは素晴らしく、貴重な作品ばかりである。
★ 入り口付近の展示品 PIANO TERRA
この建物地下には古代ローマ時代の個人の邸宅の遺跡、ポルティコが眠る。
大通り(Corso Vittorio Emanuele I)の敷設ため、この建物は一部壊され、新しいファサードが作られた。この工事中に、現在の地上から4m下に、ローマ時代の紀元3世紀から4世紀の建物(Domus Romana)が発見されたが現在は見ることが出来ない。
入口付近には、ここ、バッラッコ美術館地下4mの紀元4世紀頃の邸宅(Domus Romana)より出土したフレスコ画が展示されている。
羊を連れた女性『Affresco romano con donna con ariete』
下の写真右のフレスコ画。
アヒルと小さな蛇の壁画『Affresco di anatra con biscia』
写真左のフレスコ画。
アメンエムハト3世の複製『Copia del Busto di Amenemhet III』
アルテンプス宮より(Museo Nazionale Romano di Palazzo Altemps)
★ Primo piano SalaⅢ
エトルリア美術とフェニキア美術が展示されている部屋。
ベスというエジプトの神様
ベス(Bes)は、古代エジプト神話の舞踊と戦闘の神。本来は羊と羊飼いの守護神とされていた。豹の毛皮(ベス)をつけ、大頭で短躯、舌を出した大口の異様な姿をもつ。また、酒宴や婚礼をも司り、出産・病気から女性や子供を守るという。 ウィキペディアより
ベス像『Statua di Bes』
紀元1世紀。白大理石。豹の毛皮(ベス)をつけている。ラツィオ州、ローマに近い場所のカステッリ・ロマーニ地方のコロンナで発見。古代エジプトのヘレニズム国家の一つプトレマイオス朝の頃のもの。
ベスの石碑『Cippo di Bes』
紀元前3世紀。プトレマイオス朝(Tolemaica)時代初期。
『Stale di Bes』
紀元前1世紀。プトレマイオス朝(Tolemaica)時代後期。
フェニキアのライオンの頭『Testa di Leone fenicia』
紀元前4から5世紀頃。フェニキア美術(Arte fenicia)現在のシリア周辺の古代の町の芸術。 フェニキア人は、ポエニ戦争の後、ローマに併合されて滅んだ民族。イタリアのサルデーニャの、フェニキア人と貿易をしていた街があったサンタンティーオコ(Sant'Antioco)で発見された。
人間の形をした棺桶の蓋『Coperchio di sarcofago a forma umana』
紀元前5年から紀元前4年。大理石
フェニキアの主要都市国家シドンとして繁栄した、現在のレバノンからの出土品。Marmo parioというギリシャで採れた大理石で作られている、人の形をした棺桶の頭部部分である。フェニキアとギリシャ間は文化や商業で交流が続いていた。
この地の伝統的な髪型と、イヤリングを付けた女性の棺桶であったことが分かる。女性の大きな目とふくよかな唇などを、シンプルなラインで表現している素朴な芸術品である。
エトルリア美術 Arte Etrusca
女性の頭部『Testa femminile』
紀元前2世紀。ボルセーナから出土。髪の毛に蛇が巻きついているかのように見えるため、ギリシャ神話に登場するゴルゴーンか、若しくはエトルリア神話のラサLasaのような、死の世界と生の世界を繋ぐ神ではないかと言われている。
女性の頭部『Testa femminile』
紀元前3世紀。オルビエートから出土。
女性の頭部のアンテフィッサ『Antefissa a testa femminile』
紀元前5世紀
墓碑『Cippo funerario』
紀元前5世紀。キウージより出土。
ヴィッラ・ディ・リヴィアからの出土品 Gallinas albas
ユリウス・クラウディウス朝の家系の子供のリトラット『Ritratto di fanciullo della famiglia giulio-claudia』
紀元1世紀。大理石
3~4歳の小さな子供の頭部の彫刻。アウグストゥス帝の妻リヴィアの家(gallinas albasと呼ばれていた場所)から出土。ユリウス・クラウディウス朝の家系の子供がモデルで、幼少期のネロ帝だと言われている。ネロはローマ帝国の第5代皇帝。
モザイク画『Mosaico a tessere minute』
紀元前1世紀のモザイク画。アウグストゥス帝の妻リヴィアの家(gallinas albasと呼ばれていた場所)から出土。
★ Sala IX - Arte romana e medievale
男性頭部の欠片『Frammento di rilievo storico con testa maschile』
紀元1世紀。大理石。
帝政ローマの最初の王朝(ユリウス・クラウディウス朝)時代の、伝統的な祭壇の彫刻の一部だと考えられており、特徴のある悲壮感漂う男性頭部の破片である。
ヴィテルボの個人収集家のL. Pollakより買い取った。
バッラッコ美術館 MUSEO DI SCULTURA ANTICA GIOVANNI BARRACCO
料金 : 無料
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参考