「僕たちはバカだよね」でいい

昔のお店で「チラシを丸めてリボンをつける」という単純作業をしていたとき、「これ１つ作るのに３０秒だとすると、あと３時間で終わるな」と、あるスタッフが言った。すると別のスタッフが「単純計算で言わないで下さい」って少し怒った感じで言い返していた。

その怒ったスタッフが言った通り、作業と作業の間に手を休めたり、トイレや飲み物を買いに行ったり、世間話をしたり、結局その倍近くかかった。時間の無駄が多いのだ。これがＡＩや機械がやるのとは違う「人の豊かな部分」だと思う。いいように言っちゃったけど。

ＳＮＳでブイブイ言わせてる人は、数字に強い理系が多い。「ビジネスを数字で解決したい」と考えている人の特徴は、休憩やお茶の時間のようなヒューマニズムを除外している。これは理系に限った話じゃなくて、それが頭がいいことなのだという価値観なのだろう。

僕からすると、単純計算より複雑なヒューマニズムの方が面白くて、じゃあその丸めてリボンをつける作業が、美しく時間通りに終わって何が嬉しいの？って思うんだけど、たぶん「早く帰れた方がいいでしょ」って正論を言われちゃう。でも、そこは価値観の違いだから、絶対に交わらない。

弱者にかけるお金があるなら良い投資先を見つける方がいい。みたいなことを、さも俺がSBUに気付いたような話を聞くのは疲れる。

使うほど髪が綺麗になるドライヤーやアイロンってバカバカしいよね。と言って使わない人がいれば、真面目に使っている人もいる。機能なんてよく解らないけど、とりあえず流行りに乗ってみるか。という人もたくさんいる。それを全部まとめて「僕たちはバカだよね」でいいと思うのだ。

自分が頭がいいと思っている人をＳＮＳで見ると、「君のその美容業界の分析は正論だけど、他店の失敗を晒したり心無い言葉を並べるのは、人としてありえないからな」って言いたい。ヒューマニズムという価値観を持ち出されたら、そういう人種は即死する。認めないだろうけど。

他の角度から撃たれる場合、防弾チョッキが機能しないことを知るべきで、だからこそ他人の防弾チョッキがない部位も狙って撃つべきではないんだよね。