醗酵人間
醗酵人間 作者名 栗田信
奇書と言われて日本三大奇書の他に名が上がるとしたらこちらの醗酵人間でしょう。
ヤフオク40万で落札されたと噂の本です。
なぜこの本がこんなに人気なのでしょうか。
40万でも買いたい本。気になりますね。気になったので買いました。
戒光祥出版からミステリー珍本全集03として買えます。
定価3000円で醗酵人間の他に改造人間や台風圏の男など他の本も読めるのでお得ですよ。
今日はとりあえず醗酵人間だけを。
トンネル工事ってよく死人が出るとかコンクリートに人の骨がとか言いますよね。
主人公は九里魔五郎。この人の父親が口封じのためにトンネルの壁に塗りこまれたので、謎のせむし男と復讐します。その醗酵人間を新聞記者が追いかけるよという話です。
せむし男は最後まで謎です。もしかしたら見落としているのかも。
話の初っ端で九里魔五郎は死にます。死んどけば捜査を撹乱することができるからですかね。
でもヨギの行(ヨガ)で不死を手に入れたんで大丈夫!元気いっぱいです。
そして話の真骨頂、アルコールを摂取すると体が膨張し口が裂け、怪力になった醗酵人間になるのです!醗酵人間化する術もヨガで習得します。
ヨガに絶対的な信頼をおく栗田信さん。
物語の中でこの醗酵人間の噂は海外にも広がり「ヨーグルト・マン」として呼ばれたりします。
一気に健康的な名前に!アンパンマンに出てきそうですね。いい奴として。
ちなみに英語で醗酵はfermentationフェメンテーションです。
たぶん醗酵と言えばヨーグルトだったのでしょう。もしかしたらチーズマンとか候補にあったのかもしれませんね。
チーズマンもいい奴だと思います。
ヨガで何でもできる!という発想でなんとなく解ると思うのですが結構安直で推理とかも「この方法以外ない!」と断言気味。
いやいや他にもあるだろうよ、と結構穴の開いた推理をザックリとスピーディーに展開して、結局推理は合ってはいるのですが醗酵人間止まらない止まらない。元気に残酷な処刑をしていきます。
一言で言うとチープ。壮快痛快惨殺劇!テンポ良く読めますよ。
舞台背景は大正末期から昭和初め頃。その時代の街事情が見られるので、その時代が好きでグロいのが大丈夫な人はぜひ。